lucky seventh
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2002年06月29日(土) 1人なったら死ねますか?

「非現実的は嫌いよ」
したったらずな声で彼女は言った。
「つんざくような声もイヤ」
耳を手でおさえて、
「現実に負ける非現実的は嫌い」
どこまでも晴れわたる青空を瞳にてらしだしていた。

「自傷癖なんてまったくないわ」
ある日、彼女は昼下がりの午後に待ち合わせていた
喫茶店でミルクティーにガムシロを入れながらいった。
「ただ、何となくだったの」
その瞳はいつも通りに星のような光りを孕んでいて、
痛いくらいに彼女が正気なのだと分かった。
「ドアが開いた音が聞こえたのと同時に、母さんの悲鳴が聞こえたわ」
何をしているのって叩かれた。
「あんな風に怒られたのは初めてだった」
無感動にミルクティーを混ぜる彼女の瞳には、
なおも星のような光りが時には強く、時には淡く弱く輝いてた。
「ただ、何となくだったの」
彼女は繰り返した。
「何となくだったの」

その時、彼女は困ったように笑ってみせていた。

それは彼女が義務教育を終えた二年後の初夏の出来事で、
彼女が一人暮らしを始める二年前の出来事でした。

その時私は彼女の友人という立場におりました。
彼女のけして多くもなく少なくもない友人、そう言った方が正しいでしょう。
人並みに勉強ができ、人並みの容姿で人並みに生きている。
それが私の彼女への認識でした。

しかし、実際は違っていました。
もちろん、普段は私の思っていた通りの人間でした。
しかし私は気がついてしまったのです。

ふとした瞬間に見せる彼女の星を孕んだような瞳を
地に足がついていないような彼女の行動を。

彼女はどこまでも理性的に夢を見ていたのです。
現実という非現実的な夢を

私は彼女が恐ろしくてたまりませんでした。


ナナナ

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