lucky seventh
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生きるってなぁに?
死ねってなぁに?
<<死に沈む>>
いつも思っていた。 この扉をあけたら、誰もいないんじゃないか。 昨日が居たから、今日もいる。 そんな当たり前のことがいつから信じられなくなったのだろう?
誰もいない、住人は彼女たった1人の個室の病室には、 ただ大きな窓と、片付けられた彼女の荷物しか置いてなかった。 彼女が最期を迎えるための最後の住まいになるであろう場所は、 すべてに対して執着の薄い彼女と同様、とても簡素で質素な部屋だった。
「死ぬことは恐くないわ。」
余命、半年を宣告された彼女はそう言って空を見上げた。 外の景色は騒々しい夏から冬へと移り変わっていた。
「来年はもうこの季節を味わえないのね、それが残念ね。」
彼女が死んだ。
死ぬのは恐くないと言った彼女はもういない。
僕は哀しかった。
彼女を思うと哀しくて哀しくて
だけど、それが彼女が死んだからなのか、 死が恐くないと言った彼女が哀れだからか、 そんな彼女を思っている自分が可哀想なのだからか、
分からなかった。
ただ、胸を掻きむしりながら 苦しんで、もがいて、辛くて、痛かった 彼女が死ぬ前に、僕を見て笑って言ったことが何故か とても印象的だった。
どうやら、彼女はぼくを愛していたようだ。 そう思えたら自分はなんて幸せなヤツなんだと思えたのに。
彼女は何も愛してなんていない。 彼女はただ、愛するという行為をする自分を愛していたに過ぎなかった。 彼女は何も、結局は愛することができなかったのだ。
そうしてそんな自分を皮肉りながら、 彼女は笑って死んでいった。
「ごめんね」
それはいったい、誰にあてた言葉?
ナナナ
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