lucky seventh
DiaryINDEXpastwill


2004年04月05日(月) 死に沈む








生きるってなぁに?


死ねってなぁに?



















<<死に沈む>>














いつも思っていた。
この扉をあけたら、誰もいないんじゃないか。
昨日が居たから、今日もいる。
そんな当たり前のことがいつから信じられなくなったのだろう?




誰もいない、住人は彼女たった1人の個室の病室には、
ただ大きな窓と、片付けられた彼女の荷物しか置いてなかった。
彼女が最期を迎えるための最後の住まいになるであろう場所は、
すべてに対して執着の薄い彼女と同様、とても簡素で質素な部屋だった。

「死ぬことは恐くないわ。」

余命、半年を宣告された彼女はそう言って空を見上げた。
外の景色は騒々しい夏から冬へと移り変わっていた。

「来年はもうこの季節を味わえないのね、それが残念ね。」












彼女が死んだ。

死ぬのは恐くないと言った彼女はもういない。


僕は哀しかった。

彼女を思うと哀しくて哀しくて

だけど、それが彼女が死んだからなのか、
死が恐くないと言った彼女が哀れだからか、
そんな彼女を思っている自分が可哀想なのだからか、

分からなかった。


ただ、胸を掻きむしりながら
苦しんで、もがいて、辛くて、痛かった
彼女が死ぬ前に、僕を見て笑って言ったことが何故か
とても印象的だった。




どうやら、彼女はぼくを愛していたようだ。
そう思えたら自分はなんて幸せなヤツなんだと思えたのに。





彼女は何も愛してなんていない。
彼女はただ、愛するという行為をする自分を愛していたに過ぎなかった。
彼女は何も、結局は愛することができなかったのだ。



そうしてそんな自分を皮肉りながら、
彼女は笑って死んでいった。





「ごめんね」







それはいったい、誰にあてた言葉?


ナナナ

My追加