lucky seventh
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2004年05月07日(金) 魔法使いは恋におちる2


運命とは川の流れのようなもの。

そして、私たちはその川を泳ぐ魚なんだ。












=魔法使いは恋におちる=












占いのようなものだと、ミレニアムは笑った。
その後に、ミレニアムは厳密に言うと違うんだけだけどねと言って、
立って食器棚から1つのガラスのコップを取り出した。

「時は流れているの。
 そう、それはまるで広く深く、長い大河のように。」

それから、ミレニアムは何もない宙(チュウ)をガラスのコップに
掬うようにみせた。

「そして、私はその水をほんのすこし掬うことができるの」

空のガラスのコップをかかげて見せた。
窓からの光をうけて、ガラスのコップはキラキラと輝く。

「大きな流れは、やがて分岐していく。」

ミレニアムはガラスのコップから見えない水をそっと流した。

「だから、私には大河がどの方向に流れているのかしか分からないの。」
不便よね。

ミレニアムは苦笑した。
あまりに漠然とし過ぎた、それは方向を指し示すだけで、
抽象的な言葉しか言い様が、表し様がないんだと言った。










「ミレニアム?」

ちょうど外から夕刊を取りにいったトリニティは、居間に足を踏み入れると、
そこには珍しくソファの上でぼーっとしている妹の後ろ姿を見かけた。
いつもなら楽しそうにドラマの再放送見ている時間だった。

「ミレニアム」

テレビをつけなくていいのか?
トリニティはそう聞こうとしたのを寸前でやめた。

「ミリィ?」

ミレニアムの名前を呼ぶ、しかし声が聞こえていないかのように、
ミレニアムは、クッションを抱きしめたままちっとも動かなかった。
トリニティは反応の鈍い妹を見て、怪訝そうに眉間に皺を寄せた。

「ミリィ?」

手に持っている新聞紙でぽんっと後ろから軽く頭を叩く。
すると、ミレニアムは夢から覚めたように、呆然と叩いた主(ヌシ)
トリニティを見上げた。

「姉さん…?」

あれ?
ミレニアムは不思議そうに首を傾げた。
それから、思い出すかのようにきょろきょろと辺りを見渡した。

「え?」

その表情は大半を戸惑いを表していた。
ミレニアムのその姿は、トリニティの片割れである彼女のしぐさに
ひどく酷似していた。


ナナナ

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