lucky seventh
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2004年08月01日(日) この空の果てにシリーズ。ぼくという檻、きみに空を

ただ、どこまでも広がるこの青い空の果てに、私は泣きたくなったのです。


ウルの静止を振り切って、それでも得ようとしたこの空にどれほどの価値があったのだろうか?
それはルゥには分からない。
ただルゥの胸中は後悔でいっぱいだった。
手を振りほどいた時のウルの泣き顔が頭からはなれない。
いつだって泣いているのは自分の方だった。
ウルの手にとり縋って、泣いてわめいた。
それでも嫌な顔一つせず、優しくあやすように撫ぜてくれた。
その腕で抱きしめて慰めてくれたのはウルだった。
そんなウルをルゥは好きだった。
なのに、ルゥは行かないでと自分に伸ばされ手を掴まなかった。
掴めなかった。
伸ばされた手が、ルゥに届くことなく宙をかいた瞬間、ウルは泣いていた。
初めてみたウルの涙だった。
ルゥはウルが泣くなんて思いもしなかった。ウルはルゥのために泣かないと思っていた。

優しいウル
慈しんでくれたウル


けれど決して愛してはくれなかったのをルゥは知っている。
早くいなくなってしまえばいい。
子守歌を謡うように言い捨てたウルを今でもルゥは覚えていた。

優しいウル
慈しんでくれたウル


だけど決して愛だけはくれなかったウルをそれでもルゥは愛していた。

揺るぐことのない黒耀の瞳に自分を映して欲しかった。
肩の後ろに彫られた片羽の蝶の対になりたかった。
そしてなれないことを思い知らされた。
だから、ルゥはウルから離れようとした。ただウルと対等になりたいがための一心に…。
なのに、それがウルを傷つけた。
そんな風にしてウルを裏切ってしまった。


ウルの片割れになれなくても、
せめてウルが自由にはばたける空をあげたかった。
ただそれだけだったのに…。


ウルのあの表情がすべてを物語っているようだった。

そう、間違ってしまったのだ。


ナナナ

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