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口梔子の花。 - 2004年06月12日(土) むせるような口梔子の花の香りが廊下に充満している。 お散歩の途中に 強い香りを感じて振り向くと もう口梔子が白い花をつけていた。 思わず 手を伸ばし 花をひとつ ちぎってしまった。 今 それを小さな水盤に浮かべている。 昔 私の住む家の庭に 口梔子の垣根があった。 初夏になると その周りを蝶が飛び交い 小さな黄色い卵を産みつけていった。 口梔子の花が咲くと 縁側まで香りが風に乗って漂ってきていた。 風のない初夏の晴れた日には 陽の光であたためられた花が発散する香りは 余りにも強くて むせ返るようであった。 その頃の私の庭には 沢山の樹木が植えられていた。 庭は結構広かったから 塀の周囲に植えられた樹木と 庭のあちこちに 島のように植えられた大木の間をすり抜けるような 道がつくられていた。 夏の陽射しの強い時期になると 緑の葉は生い茂り 地面には涼しい日陰を生んだ。 夏の庭はまるで密林のようだった。 小さい頃には その庭にブランコがあった。 向かいあう形の4人乗りのブランコだった。 父はよく 庭にでていた。 自営業だった父は とても忙しかったはずなのに その頃の父のイメージはいつも 強い陽射しの中で 帽子を被って庭にたっている。 夏休み 縁側に腰掛けながら庭をみていると 青い空と 真っ白な雲の間を 銀色に光る飛行機が 大きな音をたてて 通り過ぎて行く。 眩しくて 目を細めた。 それが私の 夏休みだ。 口梔子の花の香りは 私の庭を思い出す。 モンシロチョウもアゲハチョウも飛んで来た あの昔の庭を思い出す。 ...
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