流れる水の中に...雨音

 

 

サーカスが街にやってきた。 - 2004年10月04日(月)



道は サーカスへ向かう家族連れで一杯だった。
最後の日曜日だったから 会場周囲は車と人で溢れていて
道路は1キロ前から渋滞で全く動かない。
私達は 道を抜け 市民病院の有料駐車場に車をとめると
ヒールを履いた足が少し痛かったけど
特設会場のある大きな空き地へと急いだ。
開演まであと10分しかなかったから。

会場にはいる人の長い列を後目に
私達のチケット種別では 並ぶこと無く会場内へ。
かたい椅子に腰をかけながら いつ始まるのかと どきどきしていた。

以前 サーカスに行ったのは まだ幼い頃だった。
母に連れられて 電車に揺られ訪れた覚えがある。
その時の事はあまり覚えていないけれど
覚えているのは バイクのエンジンの爆発音と
目の前を行き来するきらびやかな衣装の空中ブランコの乗り手だった。
暗いテントの中の世界は とても怪しげで緊張感に満ちていた。

白いドレスを纏った綺麗にお化粧をした人たちが
ひとしきり ステージで躍ったあと すぐに
スポットライトは天井へと移り、そこには鉄の細い棒のリフトの上に立つ
小柄な男性の姿があった。
すると男性は突然両手をリフトから離したかと思うと
靴裏を支点としてくるりくるりと一回転、二回転。
今度は背中から一回転。
床から10メートルはあるだろう場所で 心許ない足裏の仕掛けのみ。
最初から 手に汗握る緊張感だった。
大きな拍手喝采を浴びると そそくさとステージのそでに消えて行き
次々と趣向の違う出し物が繰り広げられる。
大きな鉄の柵に入った美女が 一瞬のうちに 大きな虎に変わったり。
その目くるめくようなテンポがショーの命で
緊張感と興奮を如何に沈めてしまわないかを 考えられた数々だった。
大きなショーの合間に二人のピエロがあらわれ
次の出し物の準備の合間の時間を繋ぐ為 道化を演じる。
客の興味を損なってしまわぬよう 彼等の役割はとても重要だ。

一転し サファリからシマウマやキリン ライオン、虎、豹などが
順に登場する。彼等はとてもお利口に調教されていて
皆に愛想をふりまいている。
顔を並べてお尻を振りながらお愛想する4頭のシマウマ。
鞭の音に怯えながらも 火の輪をくぐるライオンや虎。
彼等の姿は可哀想ながらも とてもお利口だった。
大きな象も2頭でてきて 彼等も可愛くお鼻を振り上げ御挨拶。
大きな象が小さなコマの上にバランスを取りながらのっかるのは
とても凄いけれど 少々滑稽でもあった。
象はタイ政府との契約の上 貸し出しされていて
その対価として サーカス団は象の保護目的の為の
象の為の病院建設の費用を送り続けている。
だけど さすがに 象が二本足でヨチヨチと歩行している姿をみて
可哀想になって 泣いてしまった。
本来あるべき姿では無いものを見せられてしまうと
そこに至るまでの調教が 如何に過酷かを物語る。
象が 哀れだった。

最後は緊張感がさめやらぬ 空中ブランコだった。
中継地点に人が二人居て 彼等がブランコに乗りながら
ステージの端からブランコで飛び移って来る人を腕二本だけでキャッチして
そして再び 次のブランコへと 投げ出すのだった。
彼等がとても凄いのは それをこなせるだけでも凄いのだけど
お互いへの信頼感だ。
皆が目隠しをした状態でも 彼等はブランコから 中継地点となる人の腕に飛び移り
またそこから 自分の背後にきちんとしたタイミングでブランコが来ていることを
信じて 彼等の腕を離すのだから。
「信じるという事は 信じられないものを信じることだよ」という
あるドラマの台詞を思い出す。関係ないけど。

最後はフィナーレ。オールキャストが見送ってくれる。
混雑をさける為に 気の早い人たちは まだ終わっても居ないのに
立ち上がって帰りはじめる。
危険な演技をした彼等は そんな客の姿をみて どう感じるのだろう。

会場の外には二匹の象との記念撮影。
鎖で動かないように足をくくられた象との写真は気が引けたけど
しっかり撮ってもらった。
「いってきました」と、その写真を姉に写メールすると 
「何?入団したの?はははっ!」だってさ。(笑)





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