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当たり前の幸せ。 - 2004年10月27日(水) 当たり前のことを 当たり前にできることは幸せだと 彼女にいわれた。 彼女とは高校時代からの知り合いだから 随分と長い年月を経て来た。 彼女は父親の転勤で東京に移り 私は関西にとどまり それからも電話をしたりし続けてた。 出会った当時 違う女子高に通ってた彼女は 型破りで自由奔放 私の周りには居ないタイプの 素行の悪さだった。 だけどそんな彼女に惹かれたのは 自分の欲求にも 考えにも正直だったからかもしれない。 彼女は私の部屋に遊びに来ては煙草に火をつけた。 そして最近寝た男の話をした。 まだ高校生だった私には 彼女がとても別世界にいるように思えた。 彼女と街をあるくと とんでもない行動をする。 突然男性に話しかけたり 悪戯したり。 多分 私が抑圧していた悪い部分を彼女がすべて肩代わりしてくれるのが 心地よかったのだろう。 圧倒的に立場としては 彼女にイニシアチブを取られていた。 時が移り それぞれに大学を出て 社会に出た。 彼女は父親の縁故でメーカーに 私は大学で秘書をつとめた。 それぞれ年頃になったときに彼女の破天荒な性格が裏目にでた。 会社の枠に嵌らなくなった。彼女の自由闊達な様は 周囲には無神経と受けたられた。 周囲とは上手くやっていくことができなくなった。 そんな性格だから 男性にも敬遠されて 1人の男すらつなぎ止めておくことができない。 次第に彼女の性格は変化してきた。 彼女は自分の行動や 周囲の評価を虚飾し誇張して 私に語りはじめた。 彼女は嘘を重ね続けた。 私にとっての魅力であったその正直さがなくなったとき 私は彼女を軽蔑しはじめた。 順調に人生を進む私と 彼女の立場は逆転し 今ではイニシアチブは完全に私の手に移った。 周囲に疎まれたために 彼女は会社をやめ 結婚も不確かな状態にある。 度々かかって来る長い電話に私は 辟易しながら受話器を取るけれど そこから流れて来る話は 愚痴か嘘か白々しい賛美だけだった。 そんな彼女から 最近はじめて本音のようなものを聞いた。 当たり前のことを 当たり前にできることは 幸せだよ と。 彼女は自分で自分のことを「変わっている」という。 そういう人は自分のことを本当に変わっているとは 理解していない。 「変わっている」という言葉の意味合いを善意に受け止めているからだ。 人と話が噛み合わない 価値観が違い過ぎる 突飛な行動をする 規格外 そういうものを そういえないから「変わっているね」と やんわりと否定する。 私にだって彼女にそうストレートにはいってあげれない。 やっと 彼女に何かしてあげたいと思った。 彼女が幸せになれる道筋を 考えてあげたいと思った。 人は その人が持っている優越性に惹かれるのではない。 その人の美点に惹かれるのだから 虚飾なんていらないんだよって いってあげたかったけど やっぱり 言えずにいた。 ...
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