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■ カーソルの鼓動
モニタの向こうにいるRと
忘れた頃に ぽつりぽつり 言葉を交わす。
その
交わす言葉の端々には
好むと好まざるに係わらず
時間の記憶が混じりこんでいる。
二人で過ごした
時間の記憶が 鮮やかに蘇る。
記憶は 時に残酷なもので
一つの何気ない単語から
二人に確かにあった 特定の感情が蘇り
それぞれが
個々の記憶のいざないにより
在らぬ 感情のはざまに流されていく。
辿り着く日がくるのか こないのか
それすら解からず 漂っている。
解かっている事は ただひとつ。
あの かつての日
千切れるようにして別れを決めたあの日の 理由と
それは何ら変わる事は無い。
『我ら 周りの人々の安寧を 壊す事無かれ』
ただそれだけ。
蘇った記憶によって 止まった二人の指先が作る
カーソルの鼓動。
その鼓動に
耐えかねた己が キーを叩く
「過ぎた日に
かつて交わしたつまらない会話は 未だに覚えているのに
どうして 昨日の大切な仕事のアポは 簡単に忘れちゃうんだろ＾＾」
そう語りかける私に
モニタの向こうのRが 微笑みのマークを送ってくる。
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