華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
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2003年02月10日(月)

たわわに実る水蜜桃。 〜女の意地〜

<前号より続く>



ルミの胸はとても美しい形と十分過ぎる質感をしていた。
大きくて柔らかそうで、しかも垂れていない。

存在感のある大きめの乳首もしっかりと上を向いている。
石膏のギリシャ彫刻のような、見事なばかりの豊乳。
絵や彫刻ではない、血の通う生身の豊乳が俺の目前にある。


「綺麗な胸だねぇ、何カップなの?」
 「一応・・・Gかな?(笑)」

「何センチなの?」
 「え〜っと・・・97(笑)」

「すごいね〜、こんな大きくて綺麗な胸、初めて見たよ!」
 「ありがとっ。私の最大の武器だもんね」


俺は丁度良い湯加減のシャワーを浴びて、身体を洗ってもらう。
身体の洗い方も手馴れたもので、隅々まで流してもらった。

時々、ルミの豊かな乳房や乳首が俺の身体に当たる。
その度にくすぐったそうに微笑むルミ。

男の性欲と心を見事に煽り立てる。


「あれぇ、お客さん・・・凄く元気になってるぅ」
 「ルミちゃん、リードが上手だからね」

「もう、おだててばかりいると・・・こうしちゃうんだから!」


すでに勃っている俺自身の根元を石鹸の付いている手でギュッと握る。
茶目っ気たっぷりの攻撃に、俺はくすぐったさで思わず腰を引いた。


「ダメだって(笑)我慢出来なくなるから」
 「じゃ、ここでしちゃう?」

「俺ね、攻めたい人なんだ(笑)。今度はルミちゃんの身体を流させてよ」


俺は反撃のチャンスを伺うつもりで、ルミにそう申し出た。
ルミは表情を曇らせる。


 「ゴメン、そういう事はしたくないんだ・・・」
「そうか、でも何で?」

 「ほら、私達のような職業だと一日に何度もお風呂に入るでしょ?」


その度に身体を洗ってばかりいると、肌の抵抗力が落ちて荒れてしまう。
それは湯を浴びて皮膚の油分が落ちる事が原因でそうなってしまう。
荒れた肌だと、相手のお客さんにも嫌な気分をさせる。

だから必要以上には身体を石鹸で流さない。

それがルミの言い分だった。

説得力十分の説明に、俺は折れるしかなかった。


「じゃいいよ・・・」
 「でもね・・・背中くらいならいいよ。お客さん優しそうだし・・・」


落胆する俺を見兼ねたのか、ルミは咄嗟に俺に背中を向けた。


「いいの?じゃ、椅子に座ってもらおうかな」
 「ちょっと待っててね」


ルミは掌にボディシャンプーを出し、椅子の座面に塗りたくる。
しっかりと擦ってから、蛇口の温度調節のつまみを目いっぱい赤の方へ捻る。
そしてシャワーで熱湯を出して流していく。
強い湯気で、風呂場は一気に湿度が上がった。


 「こうしないと、女の子は病気が移っちゃうの」


座面と女性器が密着する事で、雑菌や性病が移る事があるそうだ。

客とは違い、一日に何度も違うホテルや自宅の部屋に入る彼女達には、
こういう細かい部分も配慮すべきなのだろう。


「ルミちゃん、本当にしっかりしているんだねぇ」
 「そんなこと無いよ、でも仕事柄かな?(笑)」

「本職は何の仕事しているの?」
 「私?ナース」

「へぇ、大変な仕事だね」
 「だからこういう(皮膚や病気の)知識が豊富なのよね」


ルミはここから快速電車で45分程の街の病院で働く外科の看護婦だという。
準夜勤・深夜勤の合間を縫って電車で仕事に通ってくる。


「仕事の合間にデリヘルかぁ、ご苦労さんだなぁ」
 「だって私、借金あるしね・・・頑張るしかないから」

「その借金ってどれくらいあるの?」
 「最高で・・・1200万円くらい」

「いっ・・・1200万?」 
 「それも18歳の時にね・・・(苦笑)」


金額の大きさから、俺はにわかに信じられなかった。


彼女は高校時代から大恋愛をしていた。
相手は近所の知り合いで、若くして実家の稼業を継いだ二代目。

そして彼女の高校卒業後にすぐ結婚した。

しかし間もなく経営に行き詰まり、やがて破綻し倒産。
そして傷心のまま離婚をする。
約4年間の結婚生活だった。


 「彼の家族からは疫病神扱いされちゃってね(笑)」
「何にも責任無いんでしょ?ひどいねー」

 「でも、そうでも言わなけりゃ・・・自分達ばかり責めてると自殺しちゃうよ」
「・・・まあね。で、その借金はどうしたの?」


旦那は以前から彼女に内緒で闇金融での借金を重ねていたらしい。

そこで返済を迫って、自宅のみならず彼女の実家へも取立て屋が向かう。
話を聞く限り、相当な仕打ちを受けたに違いない。


例えそういう行為が違法であっても横暴な仕打ちが止まる事は無い。
そして「借金」という言葉の後ろめたさが、必要以上に債務者を卑屈にさせる。

薄汚い闇金融と取立て屋との巧妙な連携に、健全な生活を送る人々が蝕まれていった。


 「でも離婚したんなら、払う事無いんじゃないの?」
「そうらしいの・・・でもね・・・」


娘が直面した一大事に、彼女の実家では家屋と畑を処分して返済に充てた。
残念ながら到底返済額に届かない金額だったが。

ただその行為が「支払う意思がある」表示になり、
彼女名義での借金全額を返済せざるをえない事態となった。

俺はそういう方面の法律が分からないので、詳しい事は理解出来ない。

しかしこの長引く不況下で、我々を守るべき法律が悪用されている。
苦しい生活から生じる僅かな歪みにさえ付け込む小賢いチンピラに、だ。


我々一般市民が次々と上げる悲鳴。
永田町や首相官邸の住人は誰も耳を傾ける事は無いのだろうか。


 「私ね、私の浅はかさで自分の親には本当に迷惑をかけたから・・・
  だからお金を絶対自分で稼いで返そうと思って、この仕事を始めたの」


借金の残りと実家への返済。
しめて1200万円を自分で稼ぎ出す意思を固めたのだ。

しかしナースの給料だけでは到底稼ぐ事など出来ない。
その手段として風俗入りを選んだのだ。
女の意地、であろう。


 「そのためにもね・・・うちの店の娘に聞き回ってるの」
「何を?」

 「男をメロメロに感じさせるテクニックを(笑)」


ここのデリヘルは若い女の子が多い店で、彼女は最年長者だそうだ。

しかし風俗経験の豊富な若い娘に逆に質問を繰り返し、
様々なテクニックを吸収しているという。


 「うちの店、色んな娘が居るよぉ・・・ソープやヘルスからの転職組が」
「そうかぁ・・・」

 「後でやったげるね」
「何を?」

 「この胸を使ったパ・イ・ズ・リ(笑)」


ルミは悪戯っぽい微笑を浮かべて、豊乳を脇から掴み中央に寄せた。


風呂から上がる時、身体をバスタオルで拭いていた時に気付いた。
湯を満たした洗面台にピンク色のローションが浮いている。

いきなり垂らすと冷たいので、風呂の時間を利用して温めていたのだ。
パイズリにこれを使うのか・・・

俺は改めてルミの手際の良さに感心した。




<以下次号>








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