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水曜日、前期最後のゼミが終わると、先生がおもむろに 研究室の冷蔵庫を開け、ウーロン茶を僕に渡し、 「おじゅんくんはこれ」と。
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と、続けてワインが出てくる。 研究室で酒盛りだ。これも3、4年生合わせて3人の ゼミだからこそなせる技(自虐)。
その後、教職員レストランへ。ここは意外に豪華で教職員同伴 でないと入ることが出来ない。残念ながら次に講義のあった 僕は途中で抜けたが、お開きの前に再び参戦。 すっかり酔った先生は普段聞けないようなプライベートの ことまで話してくれた。楽しい一時。
前期最後のゼミは卒論中間発表だった。
************************************************************* 自分がつきたいと思っていた日本経済史の先生が 大学を辞することを知ったのは僕の入学直前のことだった。 入学直後、僕は大学で何を勉強していけばいいのか悩んでしまった。 それでも今のサークルに入り、先生のことをよく知る先輩から 話を聞いたり、先生の著作を読む進めることで、先生がいなくても 僕は自分が高校の時に惹かれたテーマを追っていこうと思い直した。
2年生になると学部のカリキュラム改革の一環で「アジア経済史」 という新しい講義が設置された。その講義を担当されるために 着任されたのがいまのゼミの先生だった。
この講義はあまりに鮮烈で刺激的だった。 ヒト・モノ・カネの動きを追うだけではなくそこに住む人々の 行動原理、社会構成原理に着目した比較経済史。 その精緻を極めた講義レジュメに圧倒され、先生の独特の 語り口もあいまって僕は講義に魅了されていった。 特に印象的だったのは、前期と後期の各々最後の講義だった。
試験直前と言うことで試験のことばかりが気になっている大多数の 学生をよそに、その講義の時だけ、先生はレジュメも配布せず、 講義ノートも見ずに自説を展開してゆく。 先行研究、通説に対する実証的な批判。 僕は自分の問題関心の所在に迷った時は 今でもその時の講義ノートを見返す。
3年次、就職や人気を考えて−それ自体は何も悪くないけれど− ゼミ選びで迷う多くの学生を横目に僕は口先でこそ「迷っている」 と嘯きながらも、この先生のゼミに入ろうと決意していた。 そうするはずだったし、そうしなきゃいけないんだと思った。
僕に経済史の面白さを教えてくださった日本経済史の先生のために、 自らの問題意識を追究するために、そしてゼミの先生の指導に 報いるためにも、この夏は卒論作成に励もう、すっかり 酔っぱらった千鳥足の先生とゼミ生で駅まで歩く道すがら、 そう思った。
************************************************************** なんで卒論のことでこんな情緒的な文章を書いてしまったのだろう。 書き終えた今、ふとそう思った。
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