橋本裕の日記
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2007年12月15日(土) お年寄りの笑顔

 歩いていると、ときどき素敵な笑顔のお年寄りに出会うことがある。そういう女性のお年寄りに出会うと、なんとなく心がときめく。若い女性以上に魅力的に思える。もちろん、そうしたお年よりはほんの例外なのだが、それだけに、感動も大きい。

旅先でそんなお年寄りを見かけたことがある。美人と言うわけではない。ただ、その全体からかもし出されるやわらかな雰囲気がいい。そのときはこっそり後をつけて、お宅の前まで行った。ごく普通の、ひなびた民家だった。おそらく平凡な人生を、平凡に生きてこられた人なのだろう。

 年をとると、多くの人は人相が悪くなる。それは肉体が衰えるにつれて、心の貧寒さが表に表れてくるからだ。しかし本人にそうした自覚はない。だから慎みを忘れ、殺伐とした内面をさらしながら、平気で道を歩いている。これはとても悲しいことだ。

 そうしたなかで、春の陽だまりのような老人の笑顔に会うとうれしくなる。それが老女であればなおさらだ。若い女性にはない、そこはかとない滋味が感じられる。その優しさにふれているうちに、人生の疲れが癒され、心の垢がながされていく。そして思わず、生き仏かと拝みたくなる。
 
(今日の一首)

旅先で出会う老女のほほえみに
心の垢もながされていく


橋本裕 |MAILHomePage

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