橋本裕の日記
DiaryINDEX|past|will
2007年12月23日(日) |
コップの中の炎(1) |
小学生や中学生の頃に、理科の先生がいろいろな実験をしてくれた。さかさコップの水を始め、教室でであったさまざまな不思議な現象は、私に科学の面白さを教えてくれた。こうして私はサイエンスが大好きな少年になった。
いろいろな実験や観察のなかで、私がいまでも印象深く覚えているのは、水面に浮かべたローソクの炎にガラスのコップをかぶせるという実験である。コップのなかの炎はすぐに消えてしまう。それは何故かということだ。
先生の解説では、それはコップの中の酸素が消費されたためだということだった。モノが燃えるためには酸素がなければならない。だから酸素がなくなると、ローソクの炎が消える。これはとてもよくわかる。
ところがこのときコップの中に水が浸入し、水面がせりあがってくる。これは何故だろう。こう訊かれてもどう答えてよいかわからない。先生はしばらくしてこう謎解きをする。水面が上昇したのは、コップの中の空気の体積が減少したからだ。そのため大気圧に押されて、水面が上昇した。
これをきいて「なるほど」と思う。しかしさらに先生は質問する。それでは炎が消えるとなぜ空気の体積が減少するのか。これも難問だった。しかし、これについても先生は面白いシナリオを用意していた。
それは「燃焼」によって空気中の酸素が消費されると、その分だけ空気の体積が減るからだという。そしてこのことから、酸素が空気中にどのくらい含まれているかがわかる。実験によると、コップの中でローソクの炎が消えたとき1/5近く水面が上昇する。したがって、空気中の酸素は約20パーセントだということになる。
私は家でもこの実験をしてみた。たらいに浮かべた紙の舟にローソクを立て、火をつける。そして上からグラスをかぶせる。そうすると炎が消え、やがて水面が上昇してきた。水面の上昇は1/5より少なかったものの、先生の言われたとおり、酸素が消費されて、その分だけ体積が減少し、水面が上昇したに違いないと思った。
つい最近になって、私はこの実験を日記でとりあげようと思い立ち、台所で実験をしてみた。アルミホイルで舟をつくり、大きななべに水を満たしてこのアルミの舟を浮かべる。そしてその上にローソクを立てて火をつける。炎が安定したところで、グラスをかぶせた。
たしかに水面が上昇した。ただし、水面の上昇は1/5には満たなかった。何回か試みて平均値でみると10パーセントほどだった。ローソクのかわりに、新聞紙やちり紙でも実験してみたが、水面の上昇は同じく少なめだった。
これをどう解釈したよいのか。たとえば、酸素は消費されるが炭酸ガスが発生している。この問題をどう考えたらよいのだろう。酸素が消費された分だけ体積が減少しているというのはほんとうだろうか。実はこれについても、金山広吉さんが「理科研究の盲点研究」でわかりやすく論じている。明日の日記で紹介しよう。
(今日の一首)
面白き理科の実験思い出し ローソク燃やして胸ときめかす
|