French Wolf の日記
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いやぁ、久しぶりにオーケストラの練習に参加した。何と言ってもブラームスの 4 番である。(ここだけの話だが、曲に惹かれて楽団に復帰しようと思ったのである。) ご存知のとおり、ホルンは通常 4 本で演奏する。1 番と 3 番が高めの音域を担当し、2 番と 4 番がそれぞれ 1 番と 3 番の下の音域をつくり、1 + 2 番チームと 3 + 4 番チームでアンサンブルを奏でる仕組みである。
この曲、どのパートもそれはそれは美しい旋律や逞しいファンファーレ的メロディーなど好き嫌いで選べる次元の話ではない。がしかし、やっぱり (自称) 上吹きの French Wolf としては、是非 1 番か 3 番を、と思っており、もっと素直に告白すればやっぱり 1 番を吹きたいと思っていたのである。
19 時開始の練習に間に合うどころか、余裕綽々で練習会場にたどり着き、他のホルン吹きが現れる前に 1 番の譜面を全部もらってまえ、ということで、会社を 17 時過ぎに出発し、現地には 18 時前の時点ですでに到着していた。当然ながらオケのメンバーは誰も来ていない。「しめしめ・・・」なんて思いつつ、譜面の在り処を探してみたのだが、あいにく誰も来ていないのだから当然譜面も用意されていないわけで・・・。
とにもかくにも、18 時を回った頃から、ようやくボチボチ人が姿を見せ始め、譜面も登場した。ラッキーなことにまだ他のホルン吹きはやってきていない。「ファーストいただき!」という感じでまさに言葉どおり譜面に飛びついた。なんとなく個人練習をしているとゾロゾロとみなさんのお出まし。ホルン吹きも着々と増えてきた。と同時に疑問が脳裏をよぎる。「果たして、自分がファーストを吹いてもよいのだろうか?」というのも前回はもろもろの事情があって演奏会そのものに参加していなかったのである。突然復帰したどこの馬の骨とも知れないヤツにファーストを乗っ取られたら他のみなさん、あまりいい気持ちではないんじゃなかろうか・・・。基本的に小心者なので、とりあえずホルンのみなさんの意向を聞いてみた。
なんと素晴らしいホルンの人々! 特に悶着も起きず、1 番を吹かせてくれると言うではないか! 幸せ〜。指揮者の先生も他のパートも、もちろんホルン パート内部でも、パート争奪戦が繰り広げられるのは必至だったため、1 番を勝ち取れた瞬間は至福のかぎりだった。
と思うのもつかの間、やはり 1 番は難しいのである。いや、もちろん他のパートも難しいのは重々承知しております。(← これを書いておかないと某 A 子に「まったくもぉ、ファースト第一主義なんだから・・・」と言われてしまうし、実際どのパートも大切なのは百も承知の上!) 緊張するし、疲れるし、もちろんきれいなメロディでは自分なりに美しく吹く努力を怠らず、朗々と歌い上げるところはそれらしく、悲しげなところは涙を流しつつ・・・。(そんなことを本当にやっていたらプレーヤーの身が持たない・・・。)
とにかく楽しかった。練習は 1 楽章から 4 楽章までをさらりと通して、指揮者の先生の気になったところを繰り返し練習した。今日は初見大会だったから、まぁこんなところか、というのがみんなの感想であろう。
今後は練習で皆勤賞をとらなければ、いつ 1 番の座を奪われるかわからない。
そう、練習を一回でもサボれば即、その座から引き下ろされ下手すると曲に乗せてもらえなくなるかもしれない。まぁ、温和な人が集まっているホルン パートならそんなことは決してないとは思うが・・・。それでもやはり、練習に来なくなったら当然パートの割り振りも変わってくるだろう。
大学時代よく冗談で言い合ったものだが、おいしいソロがあるパートを吹く人のマウスピースには本番当日に毒を盛る。冗談だから多少大げさかもしれないが、それくらいの覚悟で戦いに挑まなければならないのである。今の自分も例外ではない。背後に気をつけ、尾行しているものがいないか、怪しげな人影が隠れていないか、食器にはシルバー製のものを使い毒物が混入されていたら変色するようなカラクリを設け、つねに細心の注意を払わなければならない日々が続きそうである。
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