アナウンサー日記
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2001年06月18日(月) 映画「メトロポリス」を見た。

 映画「メトロポリス」は、手塚治虫が1949年に描いたSFマンガ巨編を、現代のアニメーション技術でリニューアルした作品である。 


 原作の「メトロポリス・大都会」は‘貸し本漫画時代‘の作品であり、読んだ経験のあるひとは少数派だろう。手塚マンガの原点とも言われる大作で、戦後間もない日本においてはさぞかし衝撃的な作品だったろうと思われるが・・・今となっては手塚が21才(!)のときに描いた記念碑的作品、という「古典的価値」しか見出せない作品だとワタシは思う。いま読むと、エンタテイメントとしては、残念ながら現代人に楽しめるものではない。51年前の作品なのだから、仕方が無いことなのだ。

 ところでこの作品を「りんたろう監督」が「大友克洋」の脚本でリニューアル映画化すると聞いても、ワタシは全く感心をいだかなかった。そもそも、虫プロには「ジャングル大帝」を‘セリフレス‘の映画にしてしまったという、大罪に等しい前例がある(ライオンキングを意識しすぎたか?)。また、大作指向の日本映画は、実写であれアニメであれ失敗する傾向がある・・・と常々ワタシは考えており、今回も「どうせそうだろう」と、見る前から半ば決め込んでいたのであった。


 だが、テレビで予告編を見て、ワタシの評価は180度変わった。

 予告編の映像では、壮麗なコンピューターグラフィックの大都会に軽快なジャズメロディが流れ、手足が太くて目が真ん丸い手塚キャラたちが動く動く! 予告編そのものが作品レベルのクオリティであり、「こりゃ絶対見らんば!(長崎弁)」と思わされたのだった。


 そして今日。さっそく映画館に出かけ、パンフレットを買い求めると、総作画監督はあの(!)「とんがり帽子のメモル」の名倉氏だということが分かった。さらに美術監督は「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の平田氏で、「だからこんなに絵がキレイなんだー」と期待はますます高まるのであった。


 サテ、映画を見終わった感想としては・・・やっぱりジンクス通りであった(爆)。なんでこうなっちゃうのかなー。これから見る人もいるかもしれないから詳しくは言わないけれど、ワタクシ的にはトホホな出来栄えでした。それにしてもあの予告編を作った人は才能あるなー。(予告編と言えば、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」のやたら長い予告編も上映されたのだけど、これもなかなか感動させられた。しかし、予告編だけでストーリーの大部分が分かってしまったような気がするので、本編では是非、いい意味で予想を裏切ってほしいものである)


 最後に、余談になるが・・・きょうワタシは、長崎市の映画館「ステラ座」で最終の上映を見たのだが、公開末期ということもあってか、観客はなんとワタシひとりであった。

 にもかかわらず、「ステラ座」は、そのひとりの観客のためにエンディングのタイトルロールが全部終わり、スクリーンが真っ暗になるまでキチンと上映してくれた。当たり前のことのようだが、これは大切なことだ。映画館によっては、タイトルロールが始まった途端に客電を点けたり、掃除を始めたりするところが珍しくない。一方、客も客で、タイトルロールとともにドヤドヤと立ち上がるバ・・・(自粛)はホントに多い。映画は、タイトルロールが終わるまでが作品なのだ。作品によっては、タイトルロールの一番最後に印象的なカットが挿入されることだってある。実は「メトロポリス」もそうであった。

 何しろ、ワタシとしては今回「ステラ座」に非常に好感を感じたので、今後、県内の複数の映画館で同じ作品がかかった場合は、当然「ステラ座」に行くつもりである。やっぱり、客、そして映画を大切にする映画館に頑張って欲しいと思うから。


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