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2003年04月05日(土) 薄倖なお姉さんは好きですか。

 久しぶりに、ビデオ鑑賞。
宮沢りえが、モスクワ映画祭で主演女優賞を取って話題となった、「華の愛 遊園驚夢」

 舞台は1930年代の蘇州。人気の歌姫であった、宮沢りえ扮するジェイドは、
ある貴族に落籍され、その第五夫人となり、一人娘を儲ける。
華やかな宴が催される、贅沢な生活。美貌・財力を備えたジェイドは、しかし
屋敷を蝕む退廃と、忍び寄る没落に抗う術を持たない、美しく孤独な、籠の鳥
にすぎなかった。

 彼女の心の支えとなっていたのは、一人娘と、夫の従妹である、ラン。
格式ある家柄に生まれながら、教師として独立した生活を送り、時には凛々しい
男装で現れるランとジェイドは、正反対の存在であるが故に、惹かれあっている。

 次第に大きくなる没落の足音に、とうとうジェイドは娘と共に屋敷を追い出され、
ランの元へと身を寄せる。
誰かに縋らなければ生きていけないジェイドと、必死で支えようとするラン。
しかし、ランに想いを寄せる男性が出現したことで、二人の関係に、微妙な
亀裂が生じ始める。


 一種、同性愛的な雰囲気すら漂う、二人の濃密な空気、絢爛豪華な調度品や
衣装、そして目にも鮮やかな紅葉の風景が、美しくも物哀しい旋律にのせて、
圧倒的な美しさで、訴えかけてくるような、映画でした。
とにかく、綺麗。破滅に向かう美。薄倖の美。それに尽きる。

 宮沢りえは、歌姫という設定なので、劇中歌うシーンが大変多いのですが、
実は彼女の声はすべて吹き替え。
でも、不自然な感じは全くしなくて、もともと台詞が少ない役なのですが、
目線や微妙な表情の変化で、薄倖の美姫を見事に演じきってます。
儚げで退廃的な、散り際の満開の牡丹のような、胸を締め付けられるような
雰囲気に満ち満ちていて、こりゃ、ランじゃなくても手を差し伸べたくなるわ。

 ラン役には、チャイニーズゴーストストーリーのヒロインを演じていた、
ジョイ・ウォン。この人も、スラッとしていて、綺麗。宝塚の男役みたい。
劇中前半は、男装が多いのですが、後半は、シンプルなデザインのチャイナ服
を着ていて、もうシルエットが細くて足が長くて、スタイル抜群。

 ランが想いを寄せる男性役の、ダニエル・ウーも、メッチャ格好いい。
なぜか男性の半裸シーンが多いこの映画。ダニエルも結構長い行水シーンが
あるんですが、涼しげで端正な顔なのに、意外と筋肉質でイイ体してるのよ。


 映像の芸術的な美しさに拘り、ストーリー的には救いがない感じが、なんとも
映画祭受けを狙ったかのような印象がありますが、目の保養になります。
すごく女性的な感性に溢れた作品。監督はオッサンなんだけどね。


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まめ。 [HOMEPAGE]