めっきり春めいて温かくなってきましたね。 寒い冬も終わって、朝もシャッキリと、布団から一思いに出られるようになりそうな ものですが、生温かい布団の誘惑は、収まるどころか強くなる一方です。 タオル地のシーツと柔らかな綿毛布の狭間で、身体が根を張って動けない…。
ここのところ天気が安定しなくて、満開に咲いた桜も、そろそろ散り透き始めて きたし、先日の土曜日も、あいにくの雨模様でしたが、昼近くまで寝ていたところ、 近所の雀が、ウチのベランダの軒先で雨宿りをしていて、随分と賑やかでした。 まさに孟浩然の、「春暁」ライクな日々。
ところで「春暁」ですが、あまりにも有名な漢詩で、今更書き下し文で、意訳つけて 私如きが偉そうに薀蓄たれるのも無粋なんですが、井伏鱒二先生の「厄除け詩集」 の訳が、すごく好きなので抜粋しちゃおう。 「厄除け詩集」の漢詩訳は、リズムがあって洒脱で、全部好きだ。粋。
ハルノネザメノウツツデ聞ケバ トリノナクネデ目ガサメマシタ ヨルノアラシニ雨マジリ 散ッタ木ノ花イカホドバカリ
夜は風雨の音を肴に、独り静かに杯を傾けて、朝は、小鳥の囀りで目を覚まし、 寝覚めの一服をしながら、昨日の風雨に散らされた花を想う。 そんな風に、ありのままに、自然体で生きられたら、理想的だ。 ソウイウ人ニワタシハナリタイ。
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