オミズの花道
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『危ない話・誰も書けないヤクザ屋さん』
2002年11月25日(月)
さて、飲み屋に勤める以上避けても避けれないのがヤクザ屋さんである。
この方々は例えどんな上品な店であれ、高級店であれ、絶対に避けられないお客様だ。
よしんば、
『うちは客筋が良いからそういう人は一切来ない。』
そう言い切る店があったなら、そしてそれが本当ならば、
その店は店として辛気臭く、面白くない店だと言えるだろう。
それくらい彼等は遊びに敏感だ。
『皆が遊ぶ場所で男として派手に見栄を切る』
それもヤクザの醍醐味なのだから。
往々にしてトラブルの多いお客様だが、
大阪のヤクザ屋さんは見た目で解りやすいからまだ助かる。
サラリーマンが敬遠しそうな高いスーツを着ているし、
ロレックスは貧乏臭いとピアジェを好み、デカイ石の指輪を欠かさない。
それ以前に指が飛んじゃってる人、多いしね(笑)。
つまり見て解る以上、こちらもそれなりにトラブルを覚悟して対応出来るわけ。
私はヤクザは嫌いだが、彼等を『客としては』嫌いではない。
いやむしろ、好きな方だと言える。
この方々達の流れとして、
『ヤカラは言うが、時間は短く、金を落とす。』
のが普通だから、ホステスとしては売り上げが非常に助かるのだ。
*(ヤカラ=沖縄の言葉ではツワモノを意味するが、関西ではインネンの意が近し)
気が向けば5万なりするボトルがバンバン空くし、抜き物(ドンペリとかワインとか)も水のように扱われる。
ホステスとして大きいヤクザ屋さんを掴むと、売り上げを気にせず立ち回れる。
んで、あの人達はキャッシュだからね。
しょうもない店だと『潰し目的』の為にツケられる事がままあるが、それ以外はポ〜ンと現金払いだ。
どうも彼等は『ツケ』だなんて格好悪いらしい。
つまり短い時間を何とかやり過ごせば、彼等ほど上客は居ないのである。
そういう意味では好きなお客様と言っていい。
・・・・では、その対処法なのだが。
(その壱)まず、ブスは付けない。
これは彼等が面食いという理由ではなく、面子の問題だ。
彼等が雄であり、テリトリーや権力の生き物なのを忘れてはいけない。
周りのお客様よりイイ女が傍に居るのが大切なのである。
(その弐)親分の横にはその中でも飛び切りの美人を付ける。
そしてその子は絶対に親分が帰るまで外してはいけない。
(その参)子分衆とは無理に話をしようとしないこと。
話の分、気配りを重視し、采配するべし。
要はへりくだるのではなく、『沈黙は金なり』を臨機応変に使えばいいし、彼等の雄としての習性を理解すればいいのだ。
そもそも大体がヤカラを言うのは子分衆だったりする。
彼等に突っ込ませる隙を与えない為には、しおらしく凌ぐのが一番と言えるだろう。
親分が怒ることは滅多に無い。
というか私は見たことがない。
そして実は子分衆が怒るのも、周りに対するデモンストレーションの意味合いが大きかったりする。
うちの親分になんちゅう口の利き方や!・・・・ってな具合ですね。
要は忠義心の表し方のひとつであって、私たちや周りに怒っている度合いは、実の所低かったりします。
そして組や派閥や世代の考え方で、
『堅気さんには迷惑をかけない主義』と、
『ヤクザが恐がられへんようになったらしまいや主義』とにも分かれるので、
こちらの言い分で『ヤクザは堅気に迷惑かけへんもんやろ』と思い込むのも良くありません。
後者の方々はとにかく荒っぽい方々が多かったりしますが、ある程度のルールを理解する姿勢がこちらにも必要です。
一度ですが、真っ直ぐ見つめ返した目を済まなさそうに逸らされ、後で『ネエチャン、さっきはごめんな。』と不器用に謝られた事がありました。
ああ、この人も好きで怒りっぽいスタイルを取っている訳じゃないんだな。
下がれなかった私が子供だったかな。
そんな風に感じたのを覚えています。
そういう流れや心情が読めて来ると、不思議と彼等を嫌う気持ちが薄れて来るんですね。
ああ、子分さんも大変なんだなあ・・・・そう思った時私は、
むやみやたらに彼等を嫌うのは止めようと思いました。
お酒はお酒。
飲む人がヤクザであろうが、総理大臣であろうが、清掃業であろうが、卵売りであろうが、私は所詮酒場のネエちゃん。
接客スタイルに変わりはございませんて。
とはいえ、ワタクシも
ヤクザ屋さん相手に切れる
事はございました。
それはまた、明日の日記と致しましょう。
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