オミズの花道
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『バクダンという名の酒』
2002年12月05日(木)


や、やばかった。
バクダンで死ぬかと思った。



マヤさんのお客様の守さんは渋いオジサマで私のお気に入りだ。
自分のメインのお客様が居ても、可能な限り必ず挨拶に行く。

昨日は久し振りにじっくり座れて嬉しかったぁ〜♥


最初に御会いした時、無口で無愛想な彼に手こずった。

あの年代のオジサマのお相手をするのに、私には幾つかの武器があるのだが、
守さんときたらそれが全く通じない。


って事はこの人、究極の『酒飲み』だなと直感した私は、とにかく彼に懐く事にした。

出たトコ勝負。
私というタイプを気に入らなきゃそこまで。


こういう時は本当の意味で駆け引き無しだから、
勝手なようだがホステス側が「 そのお客様を好きか嫌いか 」で判断した方がいいのだ。

究極の酒飲みに計算は通じない。
酔ってても絶対に酔わないから。


この子は自分を好きかどうか、彼等はそれで行く店を決める。
飲む場所なんて彼等には沢山あるし、酒の相手の女なんて山ほど居るのだ。
安い高いも店の内装もグレードもママも何も関係ない。

飲みたい訳ではないが、飲まずにはおられない。
「んじゃどうせなら、自分を好いてくれている女の子の所がマシってなもんだ。」
ってな感じで。


幸いな事に、私は守さんみたいに男の飲み方を知っているタイプが大好きで(笑)。

飲み慣れた客とホステスのあうんの呼吸みたいなものも評価され、
そうやって何度か過ごすうちに、守さんもどうやら私を気に入ってくれたようだった。


私が席に付けない時は、30分くらいでスッと帰り、
昨日のようにじっくり座れる時は長く過ごしてくれるようになった。

これは守さん側の店へのアピールであり飲み千切っているお客のスタイル。
こういう事が私への店側からの評価に繋がると知っているのだ。

う〜ん♪本当に小憎らしい事をなさるんだからぁ♪


さて昨日。
じっくりと座れる私相手に上機嫌な守さん、いきなりビールグラスを4つ用意させた。


ちょっと待て。
マジっすか?


そう、バクダンである。

ご存知ない方にちょっとだけ説明。
ブランデーやウイスキーをビールで割るのをバクダンと言うのです。

これ、恐ろしくまわる・・・・。


時間をみるとまだ10時そこそこ。
をいをい、勘弁してくれよ。


凍りつく客席。

マヤさんは目で私とヘルプちゃんに謝る。
ヘルプちゃんは泣きそう。

周りは成り行きを見守る。
決して守さんと目を合わせようとはせず(笑)。


『なんやお前ら、チャンスボトルやのにやる気ないんか?』

まだ半分はあろうかというチャンス(?)ボトル。
断れる訳が無いのを皆は知っていた。
そして注がれる4つのグラス。


ま、いいか。飲んじゃえ飲んじゃえ。

守さんがこれをするのは機嫌のいい証拠。
嬉しいじゃん。

4人で飲んだら半分くらいすぐ開くさ。
その席にいたおねえちゃんたちは、皆そう思っていたはず。


・・・そして始まるバクダン一気飲み。


ところがどんなマジックか、女性陣は皆ボトル後半でダウン。

これはマズイ!と思った私はマネージャーに飲め!とアピール。
ところがマネージャー、飲むことは飲むが一杯でダウン。

おうおう、酒に弱い黒服ってどうよ!?
もうええ!!退場じゃ退場!!


守さんは満足そうにニヤニヤ。

ところが私が酔ったフリをしてるのに気が付き、またなみなみとグラスに酒を注いでくる。

ここから先はもはや守さんと私の一騎打ち!!


無理矢理チャンスボトルは軽々と空き、2本目の中盤。
さすがにここまで来ると水上と言えど世界が回ってくる。

守さん、もはや渋さの欠片も無く、ガハガハと楽しそう。
あああ。嬉しくない〜!!
こんな酒イヤ〜〜〜ん(泣)!!


『もう脳天まで酒や!!なあ、なおちゃん!!』

『はいっ!今火葬場で私を燃やしたらアルコールで良く燃えます!』

何だかもう2人ともワケが解ってない。
コメントもほのかに怪しい。


・・・・・・。
・・・・・・。


ちょっと待て。
3本目、いっちゃうのかい?いっちゃうのかい?


開けちゃったよぉぉぉ〜〜〜!!


常務、下戸のアンタはどうしてそんなに嬉々としてボトルを出せるの!?
飲めない奴が喜ぶんじゃねえぇぇ〜〜〜!!


と、守さん。
そんな私をみてニヤリ。

『どや?もう止めとくか?』


・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。


『その勝負、お受け致しましょう!!』

『ええねぇ〜!!つくづく男前な女や!!』


結局3本目を半分開けた所で2人ともギブ。
双方痛み分けである。



何だか私も守さんも周りもガハガハ笑いながら終わった。



人間って酔いすぎると世界は立て揺れになるもんだ、
そんな事を考えながら、私は守さんをタクシーまで送る。



乗り際に守さんはつぶやいた。
『今日は面白かったな。またやろう。』



いや、もう勘弁して下さい・・・・・。


(すいません。まだ酔ってます。文章おかしいです。)
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