ユキマークブック。...ゆき

 

 

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世代交代 - 2001年12月01日(土)

とあるイベントに行って
懐かしい歌をライブで聴く機会があった。

彼女は、もちろん今でもソロで
シンガーソングライターとして活動を続けているが、
以前は、バンドのボーカルをやっていた人だ。
もう、12〜3年前のことになるのだろうが、
女の子ばかりのロックバンドで
当時は絶大な人気で、
私は特に好きではなかったけれど
代表曲は今でも大体歌えるし、
彼女がそのバンドのオーディションのときに
「もし私が落とされる理由が
ぽっちゃりした体型のせいだとしたら
絶対痩せてみせますから!」と審査員に直談判して
ボーカルの座を勝ち取ったというエピソードまでも憶えている。

この日、武道館のステージに立った彼女は、
最初、当時の彼女たちの代表曲で私も大好きな曲を、
別のひとが歌うその隣で、
とても穏やかに伴奏をしていた。
そして、コーラスをつけていた。
その後、同じく当時の代表曲を、
今度はのびのびと、張りのある声で聴かせてくれた。

あの頃の彼女たちは、
デビューしたてで、まだ10代で若くて、
メンバーには女の子しかいないのに
自分たちで曲も詩も書いて演奏もするバンドだと
目新しい存在として扱われていた。
まだ一般的じゃなかった茶髪で
ウェーブのかかった長い髪に大きなリボンをつけて
ミニスカートでくるくると踊り唄っていた。

今日の彼女は、
艶のある黒髪で、ショートヘアで、
飾り気のないTシャツにジーンズ。
あの頃には聴けなかったニュアンスの濃い曲を作り歌詞を書く
かっこいいオトナの女性になっていた。

良く伸びる声が、当時から彼女の声の魅力ではあったけれど
結婚をし、母になり、歳を重ねて、
彼女の声は色を帯び、深みを増し、武道館の高い天井を震わせた。

彼女は、なんだか泣けちゃうような心のこもったMCのあと、
彼女の次に唄う歌手の紹介として、
イントロの部分をアカペラで唄った。彼女が作った歌だ。
とてもとても、素晴らしかった。

今回のイベントで
バックバンドを務めたメンバーは
ちょうど彼女がバンド活動していた頃に
同じようにJ−popの第1線で
若手として活躍していた人も多くて、
それが、いまや、経験のある中堅、あるいは大御所として
今の若いミュージシャンたちから
尊敬を集めていたりするんだなあ、と思った。

彼女も、そうだ。
あの頃は、オーディションでバンドを作って
中高生の人気を集めて、曲をヒットさせて、
それは、もちろん才能のひとつの顕れではあったけれど、
やっぱり、彼女たちの上には
さらに才能にあふれた、経験を積んだミュージシャンが山ほどいて
そんな中ではどうしたってひよっこ。
それが、今や、若いミュージシャンに曲を提供し
ドラマの主題曲を書き下ろしたりしてる。

こうやって、世代交代が行われていく。
それは、音楽の世界のことだけじゃなくて
もう、私たちの世代が
社会の柱になってきてるってことだ。
私は、今、ちゃんと前の世代から
バトンを受け取れているだろうか。

いつまでも、子供の振りをしているのは楽だ。
いつまでも、新人ちゃんとして甘えているのは楽だ。
でも、もう、私には私に課せられた役割がきっとあって
そこから逃げては行けないんだと思う。

上の世代の先輩たちから
ちゃんとバトンを受け取らないといけないし、
そのバトンを、次の世代に引き継いでいく責任がある。
まだ、何色のバトンが
私に託されているのかは分からないけど。

私は、どう生きていくべきなんだろう。
受け取ったバトンを、
どれくらいより良いものに進化させられるんだろう。
進むべき道も
今いる場所も
模索中の不安定な私だけれど、
それは、今、バトンを受け取るべき立場の世代に共通なことなんだろう。

誰から渡されるのか
何色のバトンなのか
順位をどれだけあげられるのか
自分のチームはここでいいのか

誰に渡すのか
どのコースを進むのか
ゴールはどこなのか
何キロくらい走らなくちゃいけないのか

分からないことはたくさんあるけど
とにかくバトンは受け取ろう。落としたり失くしたりせずに。



...

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