縁側日記  林帯刀





2004年07月27日(火)  ムーン。


降りだした雨はいつの間にか止んでしまった。
今はもう星がでているだろうか。


夜に帰ることはあっても、空を見上げることに気がつかない。
そうやって星空を忘れている。
オリオン座を見つけることはできても、
北極星やひしゃくやカシオペアはいつも分からない。
北の空には山の黒い影があり、夜空よりも暗くそこにある。
街灯から離れてしまうと、
足元を照らすのはトンネルを抜けた線路の灯りと月。
月のない夜は足元が暗くなる。
この間見た月はおぼろで、橙色をしていた。
星は見えない。


天の川が分からないのは、眼鏡のせいだと言い聞かせている。
それが何かの烙印となって、体に押されてしまうのを避けている。
染みのように欠点が押されるのを避けている。


月も星も分からずに夜を生きるのはつらい気がするので、
夜空を見上げるのを忘れない。
天の川を見ることはできなくても、
橋の下に点滅する光の線があればいい。


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