1週間以上中断していた天童荒太の「悼む人」をさっき読み終えた。
堪らないなぁ、、これは。。 特に、母親巡子の部になると、頻繁に目が潤むので、 人がいっぱいいるところで読むのはつらすぎる。 何度老眼鏡を外して、目を拭いたことか。。。
無差別に人の死を悼んで旅をしている静人の母は、 すでに死の宣告を受けて、余命が短い。 一方、静人の妹の美汐は、静人の風評のために恋人に捨てられ、 その元恋人の子を生もうとしている。 死が近づいている母と、その母を支える夫と、 母をいたわりつつ新しい生命を宿している娘と、 その娘に幼いころから恋をしている従兄弟と、 その他さまざまな人間関係をこう巧妙に描かれたら、困るじゃないか!
静人となんとなく一緒に旅をする女。。。 彼女は、夫に執拗に懇願されて、自らの愛を守るために夫を殺した。 静人の行動が、なんとなく気になり、同行するうちに、 それが大きなドラマとなる。 自分自身は、一度も静人と同じように悼んだりしないのだけれど。。
目の潤みやすい展開でも、大泣きするようなところはなかったのだが、 やはり、ラストにはなかされちゃったなぁ。。 「倖世は、左手を伸ばして静人の足跡に触れ、 右手を広げて日の光を受け止め、胸の前で両手を重ねた」 読んでない人には何のことかわからないだろうけど、 なんと重い場面であろうか。。。
「悼む人」の静人も、静人について歩いていた倖世も、 これからさらに旅を続けるだろう。 「亡くなった人を忘れない」旅を。。
ちなみに、私自身、今癌に冒されてても不思議じゃない身だし、 数年以内に、いきなり、あと○カ月です、と宣告されるかも、、と、 そんな不安も抱かずにいられないような身なので、 身につまされるような思いで読んでしまったのだった。
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