TENSEI塵語

2009年03月23日(月) 瀕死の父

いつだったか、父の容態が悪くなって、ケアセンターから病院に戻り、
かなり持ち直したのだが、このところまたかなり悪いというので、
久しぶりに夕方様子を見に行った。

肺炎は嚥下ミスで、肺の方に入るべきでないものが入ったためらしい。
そこに、若いころからの持病の喘息が重なった。
この喘息は、私たちが子どものころからたびたび父の生命を脅かした。
症状がひどくなると、もう、次の一息の後には息絶えてしまうのでは、、
と思わされたものだ。
そんな危機を、10回以上もくぐり抜けて生きて来たのだった。

でも本当にかわいそうだと思うのは、
警察官を定年退職後、自動車学校の副校長として仕事を続け、
(定年退職してから働くことない! って言ったんだけども、、)
それも退職して、優雅な老後を送る時期になって、
何年も経たないうちに呆けてしまったことだ。
取り立てて情熱を傾けるほどの趣味も持たなかったせいか、
いとも簡単に呆けてしまった。

やっと自由で気楽な生活を手に入れたのに、
人間らしい精神が損なわれて、喜びを充分に味わえない、、、


今、喘息と肺炎で苦しい息を繰り返している父を見ながら、
父にはこの苦しさがあるだけで、
自分が今どうなってるのかもよくわかってないんだろうな、、と思うと
ほんとに哀れでしょうがなかった。

看護師がやってきて、喘息緩和用の吸入器(らしい)をセットして、
その管を引き受けて父の口元にずっとあてがってやりながら、
そして、だんだんと症状が落ち着いていく様子を見ながら、
どんな風に死なせてやるのがいいのだろうとか、
どんな風に(自分が)死ねたらいいのだろうとか、、、
いろいろなことを、複雑な思いで考えてしまった。


 < 過去  INDEX  未来 >


TENSEI [MAIL]