TENSEI塵語

2009年04月26日(日) 住職の雲水体験談

昨夜書いた住職との雑談の続きだが、まとめから先に書くと、

おおよその作法をちゃんと覚えるのに1カ月かかる。
身体も心も、作法にも慣れるのに3カ月かかる。
質素な食事に身体がついて行かなかったり脚気にかかったりして、
脱落して行く人もいるという。

1年で10〜20キロは痩せる。
「私でも10キロ痩せましたから」
彼は長身でスマートである。
太り気味の人だと20キロ以上痩せるという。
入山前に入門仲間と撮った写真と見比べて、讃え合ったりするそうだ。
(骸骨みたいになってなきゃいいんだけどね、、)


作法の中でも、特に食事の作法は覚え慣れるのがたいへんだったそうだ。
皿が7枚与えられ、食事ごとに用意する枚数と種類が違っている。
模様は同じで形だけが違う皿をその都度用意して待たなきゃいけない。
しばらくの間は、先輩の僧が前で見ていて、確認して注意してくれる。

食べてる途中でも、最年長の僧が箸を置いたら箸を置かなきゃならない。
それはお代わりの合図である。
次に最年長の僧が箸を置いて食べ終わったら、
それ以後食べ続けることはできないので、
自分の体調などと相談しながら、お代わりするかを考えなきゃいけない。


トイレに入るときは、入り口のところで着物を脱ぎ、
両膝と両肘と額を地につけて、入り口の仏さまに礼拝してから入る。
出たときも、礼拝してから着物を着る。
(我慢を重ねて洩らしそうな時はたいへんだ!)
5日に1回だけの風呂(4の日と9の日だけだと言う)の時も、同じ。


朝起きてからのいろいろをここまで話してから、
「楽しくないです、、、」
で締めくくるもんだから、皆笑ってしまった。


入門の時の話もおもしろかった。

山門に到着したら、板を鳴らして来たことを知らせるのだが、
なかなか出てきてくれない。
ずーーーと待たされた末に「意地悪な坊さん」が出てきて、
「何しに来た」とか「ここはお前の来るところじゃない」とか。。
で、いろいろと自分の決意を述べてお願いし続けると、
本当かどうか、しばらくここでもう少し考えてみろ、と行ってしまう。

もう事前に願書を出して、その許可が下りているから来ているのに、
ひどい扱いである、、、が、これも修行のひとつだとか。。

何時間も待たされていると、(2月だから寒いのだ)
今度は「もっと意地悪な坊さん」が出てきて、似たような問答となる。
それでやっと、僧堂に入る前に、旦過寮という仮の宿のような所で、
1週間の予備教育が始まる。
日常の作法などをここで教えられるのだそうだ。

「その『意地悪』はそこだけなんですか?」
「いや、全国の修行場のどこでもそうしてると思います」


今年の秋は、永平寺で2泊3日の体験修行が開かれますから、ぜひ!
と、嬉しそうに勧めてくれる。
「楽しくないです、、」って言ってたの、誰だったっけ?(笑)


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