朝日新聞が、4月から日曜に「百年読書会」という企画を始めて、 ナビゲーターの重松清が第1号に選んだのが、太宰の「斜陽」。 読者からの感想文を抜粋して紹介する特集で、 4月4回分の「斜陽」の読書会が先日の日曜に終わった。
まだ読んでなかったので、さっき第2〜4回の新聞を発掘して読んだ。 第1回の日の新聞は資源ゴミ回収に出してしまってもうなかったが、 ここで読むことができた。
なぜまだ読んでなかったかと言うと、 日曜日にのんびり新聞を読む心境でなかったのと、 日曜日の5ページにもわたる読書欄を読むのを避けているからである。 下手に読むと、積ん読のための本が増えすぎてしまう、、(笑)
さて、第1回に紹介されている感想にこんなのがあるのだが、、
「行動する前に悩み、それがすべてだった高校時代の私は、 太宰のグジグジにかなり共感していた。 けど、3人の子の母となったいまは違う。 共感できない。いらいらする」
さもありなん!(笑) この人と同じ感想を抱いていたわけではないけれど、 そういえば、私も、大学を卒業して以後好んで読み返したのは、 中期の、グジグジ言わない作品群が多かったような気がする。
第4回の締めくくりに引用されているのは 天安門事件の直後に読んだという来日中国人の言葉、、、
「命の危険を感じながらデモやハンストをしていた者としては、 愛する人の子供を産むことが〈闘争〉だというかず子の戦いは あまりにもちっぽけで無力だと思った。 だが、徐々に、明日を生きるためには このちっぽけな戦いしかないと悟った。 価値観の崩壊から立ち直るには、新たな価値を見つけるしかない。 その新たな価値となるものは、ありふれた自然と平凡な日々。 私はかず子のつぶやきを何度も読み返したのだ」
終わりから2つ目の文が「平凡な日々」で終わってるのが ちょっと解せないのだが(「平凡な日々の中の何か」とか、、?)、 ま、この人に限らず、わりと肯定的に受け止めてる読者も多いなぁ、と 全体を読んでちょっとうれしくなった。
大学時代に「斜陽」についての評論をいくつか読んだのだが、 あまりいい風には書いてくれてなかった。 「四者四様の滅びの姿」とか「絶望的な革命」とか。。 そうかなぁ、、? それは、あなたたちの、作家のイメージもまぜこぜにした 単なる「感想」か「印象」でしょ? 私は、太宰が結末に向けて描きたかったことにこだわって、 何度も読み返した末、「三者三様の復活物語」と結論した。
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