ハッピーステップ
泥沼生活から、這い上がった軌跡(日記のはじめのほう)を書いた後
最近では、日常の感じた事をつらつらと、不定期に更新中ですm(_ _ )m

2003年08月14日(木) 第13章 発覚

次の日の朝、彼は、商談の為、一旦会社へ向かった。

私は、彼の商談が終わるまでの間、時間つぶしの為
一人で街をブラブラと歩いた。


暦の上ではもう春だったが、一番寒い時期。2月の半ばだった。


彼と、おしゃれな郊外でデートするつもりだった私は、
いつもより少しオシャレして、春の装い。
冷たい風が、薄着の身体を冷やした。


その頃は、まだ、今ほど携帯電話を誰もが持っている時代ではなかった。
ぼつぼつ普及しはじめた頃で、持っている人が4:持っていない人が6 
くらいの割合でしかなかっただろう。私たちは、後者の方だった。



商談は、相手のあることだし何時に終わるかはっきりとは
約束できなかった。


「いいか、商談は、1時には終わっていると思うんだ。
1時になったら、会社に電話して来い。そして、時間と場所を決めよう。」
「わかった、でも、もし他の誰かも休日出勤してたらどうする?」
「絶対、俺が電話鳴ったらすぐに受話器を取るようにするから」
「うん、じゃあ一時にね」


昨日の、打ち合わせ通り私は、1時を待って公衆電話を探した。


トゥルルルル〜受話器から電話の呼び出し音が、ワンコール終わらない内に
「もしもし」とだけ、声が聞こえた。

すごい!ホントにすぐ取った〜

私は、ウキウキした声で、「あきらちゃん♪」と言った。


「どちら様ですか?」事務的な声が聞こえた。


顔から血の気がサッとひいた。
咄嗟に受話器を置いた。



その声は、紛れもなく社長だった。



「どうしよう・・・・」手が震えた。

きっと私の声と気付いたはずだ。


あの時期に携帯でも持っていれば、その非常事態は免れたのであろう。


私は、まだ肌寒い街で寄り添って休日を楽しむカップルたちを尻目に
ただ愕然として、どうしていいかわからず街を彷徨った。


もう一度会社に電話する勇気はなかった。



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