書泉シランデの日記

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甘食
2006年03月02日(木)

なんという風の吹きまわしか、何年ぶりかにお菓子を焼いた。オーブンそのものは毎週のように料理に使うのだけれど、お菓子は子どもが小学校を卒業してから焼いたかどうか、記憶にない。大体、私が焼くよりは買ったほうがはるかに経済的で、はるかにおいしいのである。

ところが、人から「甘食」のレシピをもらい、ほお、甘食ね、と妙な風が吹いたのである。別に甘食が好きなわけでもない。B級パンで好きなものはメロンパンである。甘食はぱさぱさ甘いだけなので、もらえば食べるが、買いはしない。(メロンパンもぱさぱさ甘いだけだが、あれを「メロン」という貧しさに胸がきゅんとする。)

ともかく、久しぶりに秤を出し、粉ふるいを出し、電動あわ立て器を出し(横着なのだ)、作業開始。甘食は「パン」ではないらしく、発酵だのガス抜きだのという、いらちの私には辛い作業がない。ちゃかちゃか仕事を片付けるだけ。

生地をねかす間に、使ったボールや何かを洗う。そういえば、犬がいたときは、ぺろぺろっと舐めさせたりした。(きたない?きたないかもしれないけど、実害を受けた人はいないはず。)死んで半年、いろんなことを思い出してきたが、お菓子つくりの一こまはすっかり失念していた。ケチらないで、もっとふんだんに舐めさせてやればよかった。

しぼり袋で生地を天板にしぼりだす。ここまできて、突然「焼いてどうする?」と疑問がわいてきたが、まあ、2週間持つというし、おいておけば朝のパン代わりに息子でも食べるだろう、と続行。

オーブンにいれて5分もしたら、幸い、どれもそれなりに色っぽい形状にふくらんだ。案外簡単なものだ。10分ほどで色づいて焼き上がり。

「罪のない食い物だなあ」といって息子食べる。夫は2個食べた。こういう素朴な菓子には弱い昭和20年代生まれである。



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