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『西洋音楽史』 岡田暁生
2006年03月04日(土)

どこかの書評でもかなり褒めてあったし、知人が絶賛していた―「私のようなものにでもクラッシックの流れが分かりますがな」―岡田暁生『西洋音楽史』(中公新書)を読んだ。音楽史の本というと、時代順に人と作品の解説を列挙したものが殆どだが、確かにこれは違った。

試験をされたら理解度の浅さがすぐばれそうだけれど、少なくともコレを読むと「分かりますがな」感覚が生まれる。時代を背景に全体像が把握させてくれる手ごろないい本。ただし、こういう通史的なものは、どんなジャンルでもそうだが、ある程度、出てくる作品を知っていないと何も面白くない。

「クラッシックの黄昏」という副題も納得がいく。私たちが考える「クラッシック」って実はかなり限定的に19世紀西洋音楽のことだったんだ。それがわかってどうなの、といわれたら、一つ考える足場を与えてもらった、と答えよう。

よく売れているらしく、もう5刷に入っているようだ。静かな口コミだろうか。これまで西洋音楽史の本を読んで、何か自分の求めているものと違うと感じた人がそれだけ多かったことの証しかもしれない。私に教えてくれたのは極めて老獪なジイ様だが、彼とて誰かにいわなければ済まなかったんだもの。




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