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■ 『ハイブリッド・チャイルド』
レシアは棺にとりすがりながらブラウン管をコツコツたたいた。そうすれば再び生き返るとでもいうように。
だが奇蹟はおこらなかった。そこにはなにも現れず、宇宙の暗黒の闇が広がっているだけだった。 レシアはふるえながら思った。 さびしい……さびしい……さびしい……この世界は冷たすぎる……冷たい水のようだ、ここに流れる水のようだ、うすく透明で、寒い、寒い、寒い、青ざめた世界。
ある賢者は言っている−−もし最後のページにきたならば……本を閉じなさい、と。
(大原まり子『ハイブリッド・チャイルド』ハヤカワ文庫、1993)
2005年06月03日(金)
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