「我慢をしなさい」 とか、云われると。 我慢って何物か解らない。 あなたは、いつも『我慢』と『努力』の羅列を詠う。 ねぇ、その見本を見せて。
でも時々、突然、我慢なるものが何物か漠然と理解出来る事もある。 あなたは家を出て行った。 「耐えられなくなったから」と云って、柔らかに約束をほどいた。 何度もほどかれた小指は、約束も信頼も失くした。 逃げたあなたには云われたくなんてないの。 あたしは夢を見れば進むことしか出来なくて、あたしなりの理解さえ糧にしたつもりで。 ほんの、簡単なことだった。 我慢に努力を足せば、何事も解決出来たハズだった。 だけど、今は蝕まれたままの身体で、あたしは何処へも行けない。 屋上から飛び下りることさえ希望の日だってある。
全てを恨んで、復讐は切り口も甘く。 あたしの残した足跡は、ひとの波に掻き消されてゆく。 瞬きする一瞬だって、とても恐かった。 あたしは飲み込まれる。 夜闇も雪も鮮やかな赤い唇に絡み付く、白くうねる息も。 異常すぎる程、それらを愛し。 矛盾するほど、それらに怯えた。 もう、今年も冬が来て。 あたしは強い風に呑まれることもなく。 きっと誰にも愛されることのないまま。 歌声でひとを殺せる日がくるまで、あたしは留められた希望に未来を託す。
友達感情の限界なんて、あたしは解らないけれど。 あたしはあのこが入り込んで来る隙間をもう赦さない。 あなたの言葉を赦さない。 矛盾、絶望、束縛、非力、憂鬱、早く消えて仕舞いなさい。 消えて無くなって貴方の消滅は、ひとをひとり救うのよ。 せめて、それだけは認めてあげる。
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