⊂よなが⊃
2002年10月14日(月)

コンビニに行ったら、冬の『身体の中からあったまりましょう』な食べ物が沢山あった。
けど、身体の中から温かくなる事に、酷く嫌悪感を覚えた。
もっと外側からあったかければいいのに。
あのころ、青い夕方に、お母さんの目をぬすんでコンビニに行った時くらい。
不自由になっていたかった。
誰かにつかまれていたい。
自由過ぎて、怖い。

海道町という場所が在って、あたしは昔、そこに住んでいた。
住宅街でひとがたくさん在るはずなのに、
ひと同士がくっつき過ぎていなくて、とても住み易い場所だった。
何処へ行くにしても、実家より便が良く、なんでもあって。
不自由な暮らしをするからこそ、逃げ出す事が生き甲斐だった。
だからといってもどうせ田舎で、少し外に出てしまえば田んぼだらけ。
遠くに宇都宮タワーの見える、親戚の家までのひらけた道は鮮やかな闇色で。
夕暮れ空に浮かぶ真っ白な穴の向こう側を、もうひとつの世界だと信じていた。
逃げる場所なんて幾つも在った、逃げる場所は幾つも在って。
帰る場所も幾つも在って、選ぶ事を強いられて、結局は。
あたしに帰る場所なんて無かった。
煩がられて、『出ていけ』と云われれば、在る場所を失い。
もうひとつを想うけれど、想うだけで、自転車をとばして、日暮れの道を走った。
携帯電話と云うものが、あの頃、手元に無かった事を幸いに思う。
13歳のあたしは自由も不自由も見境なく、あるがままに何処へでも向かって。
混ざりあった自由と不自由が、生粋な形を忘れたまま残ってる。
迷ってばかりいる。
わからないものばかりで過ごして来たから。
自分の内側に目を向ける事は、とても簡単だった。
そして向け過ぎて、まわりを見損ねてばかりいる。

また何云ってるかわからなくなった。
あたしにもわからない。



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由弥 [御手紙]