カウントシープ
index|past|will
昨日のショックを引きずったまま、相方とボクは夢を見た。相方は、今までに言えなかった家族への不満をぶちまけている夢だったらしい。今まで諦めていた思いに火がついたのか、どちらにしても、怒るというプロセスまでたどり着いたのは、夢とはいえ1つの進歩だろう。
同じ日、ボクが見た夢。
夢の中で、ボクは学校のような建物に居る。校舎を結ぶ渡り廊下、鍵のかかった窓、寂れた下駄箱・・・そんな中を潜り抜け、ボクは病院に向かっている。病院から電話がかかってきて、ボクはまだ見ぬ患者の元へたどり着こうと必死になるのだが、学校はどこか迷路めいていて、行く先がおぼろげになってしまう。
気がつくと病院の裏口まで来ていて、ボクは集中治療室に入っていく。其処には、まだ5、6歳と思われる少女が横たわっている。子供の体はうっすらと血がにじんでいて、腹には包帯が巻いてある。子供は、自分で自分の腹を割いて、腸を切り取ってしまったのだという。子供の瞳は鉛色で、ボクは其処に生きる価値を見出せない、孤独を見ている。ああ、またこういう子供だと、この惨状を前にボクは妙に冷静だ。
子供はすでに手術を終えていて、側では医師が、子供の親に対して怒っている(その場に親は居ない)。親に愛されない子供は、世の中に絶望し、腹を切った痛みさえ感じていない。
ボクは子供を抱き上げる。そのときボクの皮膚にも子供の血がにじむ。ボクは、感染症のことがちらりと頭をよぎり、手袋をしないなんて危険だな、と思いながらも、そんな手袋をして抱いても、この子には伝わらないだろうな、とも思う。
無表情のまま、子供はボクの腕の中にいる。抵抗もしないが、しがみつきもしない。ただ、包帯だらけの子供の手が、ボクのほうに伸びてくる・・・
目が覚めても、血の匂いが漂うような夢だった。
ロビン
|