「硝子の月」
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2002年01月11日(金) <成り行き> 瀬生曲

 少年は初めて来た街で、行く当ても無く彷徨っていた。
「何してんだろうなぁ、俺」
   ピィ
 とりあえず広場の噴水の縁に腰掛けて親友の喉を撫でる。
「別にあいつらと一緒じゃなくたってお前さえいればいいのに」
 なのに何故か自分は旅立つことも無く猫洗いをしているであろう面々を待ってしまっている。
「『硝子の月』のことだって、本当はどうだっていいのに」
   ピィ
「お前は見たいか?」
 今度はアニスは答えなかった。ただ静かにティオを見詰めている。
「……東、か……」


紗月 護 |MAILHomePage

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