みのるの「野球日記」
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2001年12月04日(火) ヘッドスライディング

 今春、神宮球場で行なわれた全日本大学野球選手権のプログラムに、出場校の紹介とともに企業の広告が掲載されていた。その中のひとつに面白いキャッチコピーがある。

「頑張っている人には、ついついジャッジが甘くなってしまいます」

 セカンド盗塁を試みるランナーが、明らかにアウトのタイミングにも関わらず、ヘッドスライディングをする。それを見た塁審がセーフのジャッジ。そんな状況の写真があり、「何かに打ち込む人を無条件に応援したい」「頑張っている人に惜しみないエールを送りたい」と広告は締められている。

 これを見て、野球大会のプログラムに載せる広告にしては、「冗談がキツイなぁ」と思った。写真を一塁のクロスプレーにしなかっただけ、配慮が効いているとは感じたが。

 先日、図書館で「スター選手はなぜ亡命するか」(マーティー・キーナート著 KKベストセラーズ)を借りた。98年1月に出版された本である。内容はメジャーリーグと日本のプロ野球を比べ、日本野球の将来に警笛を鳴らすものだ。いくつかの項目の中に、「一塁へのヘッドスライディングは即アウト」という文があった。

「アメリカ人と日本人の野球に対する考え方のうち、全く正反対なものが、特に高校野球で見られるファーストへのヘッドスライディングだ」と書かれている。 
 
 アメリカの場合ヘッドスライディングに対する考え方は、「バカなこと」の一言に尽き、ヘッドスライディングをしてはならない理由には、「スピードが低下する」「ケガの危険性が高い」と2点を記している。
 
 もうひとつ面白い理由として、審判のジャッジも挙げている。
「ヘッドスライディングをした場合、アメリカの審判は必ずと言っていいほど、アウトのコールをするのだ。アメリカの審判はみなヘッドスライディングが、走者のスピードを低下させるうえに、ケガも招きやすい無意味なプレーであることを、十分わかっているからである。(中略)
 審判たちにしてみれば、スピードを低下させ、ケガの危険を冒してまで、一塁にヘッドスライディングをするようなバカは、アウトとコールされても当然なのだろう。
 ヘッドスライディングを巡るアメリカと日本の間での考え方の相違は大きい。日本人はエキサイティングでガッツあふれるプレーだと考える一方、アメリカ人にしてみれば、アウトになる可能性が大きく、危険なプレーでしかない」と書かれている。


 私は高校野球で頻繁に目にする一塁へのヘッドスライディングが、好きである。日本人的な考え方と言われればそれまでだが、「あぁ、頑張ってるな」と応援したくなる。頑張っている選手に対し、冒頭の広告のように審判が応援すると大問題だが、ファンであれば当然構わない。

 マーティー・キーナートさんと同じように、「ヘッドスライディングは無意味だよ」とクールに思うようになったときは、高校野球への「熱」が薄れたときだと思う。今の自分は、まだそうなっていないし、なりたくはない。
 
 最終回の攻撃、最後のバッターが、一塁ベースの5mほど手前からヘッドスライディングを試みても、今は素直に拍手を送れる。「明らかにアウト」になるのは、選手自身だって分かってる。でも、心では分かってるけど、身体はまだあきらめてはいないのだ。

 ヘッドスライディングで一番印象に残っているのが、99年夏の甲子園準決勝、横浜対明徳義塾の試合である。4−6と横浜2点ビハインドで迎えた9回裏横浜の攻撃。先頭の9番佐藤がヒットで出塁し、1番の加藤が左バッターボックスに。初球、加藤はサード前に絶妙のセーフティーバントを試みた。一塁は際どいタイミングとなり、加藤は気迫のヘッドスライディング。塁審の手は横に広がった。

 横浜市民の私は、当然横浜を応援していた。でも、横浜びいきの私でさえも、あれはアウトだったと思う。けれど、それには但し書きがつく。「ヘッドスライディングをしなければ」アウトだった。あの時の加藤のヘッドスライディングには、それほど鬼気迫るものがあった。アウトとジャッジされていれば、横浜高校の春夏連覇はなかったと思うぐらい、大事なプレーだった。

 やっぱり私は、高校野球のヘッドスライディングが好きだ。
 高校野球から、いつまでも「熱」を感じていたい。


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