みのるの「野球日記」
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2001年12月21日(金) スタンドのヤジ

 前回に引き続き、ラグビーの話。

 先週の16日から全国大学ラグビーが開幕した。秩父宮では、早大vs大東大、関東学院大vs京産大が行なわれ、早大と関東学院が2回戦進出を決めた。
 第2試合の関東学院大vs京産大をゴール裏から見ていたら、近くにいた男性二人組がビール片手に、京産大に対して盛んにヤジを飛ばしていた。この日の京産大は前半こそトライを奪うなど善戦を見せていたが、後半に入るとディフェンスはズタズタに切り裂かれ、昨季の覇者・関東学院大に75−14で敗退した。
 
 関東学院にトライを取られ、インゴールで円陣を組んでいるとき、ヤジは飛ばされた。
「こんな試合見に来たんじゃね〜よ! 金返せよな! 入場料返せよ! やる気あんのかよ!」
 インゴールとスタンドの距離から見て、選手には充分聞こえる近さだった。
 
 ヤジを聞いて、私の隣で見ていた女性が呟いた。
「あんなこと言わなくても良いじゃん。選手だって頑張ってるよ」
 私も同感だった。言葉に言い表せないほど、不快だった。同時に「おっさん、ここはラグビー場だよ。居酒屋じゃないんだよ」と心の中で呟いた。

 何度もトライを取られ、京産大の選手がインゴールに位置するたびに、ヤジは繰り返された。


 試合後、京産大の大西監督は選手を誉めた。
「関東学院相手に、今の戦力でよくやってくれたと思う。特に前半は自分たちの力が出せていた」
 監督はこうも続けた。
「今わたしたちの部は、部員45名と厳しい状況にいます。でも、今日の試合は学生が一生懸命、ケガ人が多い中でも頑張ってくれました。あと2、3年は掛かるかもしれないが、必ずや関東のファンの前で京産大の力を見せたいです」 

 関東学院大vs京産大といえば、97年度の大学選手権準決勝と同じカードでもある。かつての京産大の実力からすれば、1回戦で関東学院と当たることは考えられなかった。京産大は、ともに日本代表であり、神戸製鋼で活躍するCTB吉田明やFB大畑大介を生み出した名門校であるが、近年は実力の衰退と部員の減少は激しい。関西大学リーグでは下級生だけのリーグ戦である「ジュニアリーグ」が行われているが、京産大は部員数の不足により2年連続で辞退しているという。


 『スポーツライターの心得』を私に教えてくれたN先生は、「スポーツを書くためには、まずはスポーツを好きになりなさい。選手を好きになりなさい。好きになって、たくさんのことを知って、そうすれば良い所が見えてくる。知らないで批判だけするのは、もってのほか。正面から温かい目で物事を見なさい」と何度もおっしゃっていた。

 京産大のラグビーは、確かに関東学院と比べると雲泥の差があった。でも、私には一生懸命やっている気持ちは伝わってきた。「入場料返せ!」と、選手に対して思う気持ちなど、微塵もなかった。
 
 「ダメだよ」「何やってんだよ」と、批判や文句を言うのは誰にでも出来る。でも、そこから何が生まれるのだろうか。



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