3日ほど前の話しになるが1月2日、国立競技場に大学ラグビーの準決勝を見に行った。対戦カードは早稲田大ー慶応大、関東学院大ー法政大。それぞれ、対抗戦グループ、リーグ戦グループの1、2位同士の対戦。最終的に点差は開いたが、随所に見応えのある面白い試合だった。
早稲田ー慶応。言わずと知れた早慶戦(慶早戦?)。伝統の一戦は、ゴール裏に多少の空席は見られたものの、メイン・バックスタンドはともに超満員。協会発表によれば5万人の観客が訪れたそうだ。 私はメインスタンドの最上段から観戦したが、S席ということもあり、周りにはご年配の方々が多く見られた。おそらく、早稲田、慶応OBだと思う。ひとつひとつのプレーに歓声を上げ、時には溜息を漏らし、試合を楽しんでいた。
早稲田大といえば、付属の早稲田実業の試合を神宮第二球場で観戦したとき、私は応援の多さに驚いた。見事に統率のとれた応援スタイルにも驚かされた。年配の方もラグビーと同じように多く訪れていた。「伝統校はすごい。うらやましいな」と私は感じた。
大学ラグビーに話しを戻す。早慶戦が終わると、私は仕事があったので第二試合の途中まで席を離れた。戻ってきたのは前半30分過ぎ。関東学院ー法政はクロスゲームを展開していた。けれども、周りに早慶戦のような熱気は全くない。満員に膨れ上がっていたバックスタンドは、それがウソのように空席が目立っていた。空席には、観客が残したゴミに食いつくカラスの姿まであった。 空を見渡す。今にも雨が落ちてきそうな、どんよりとした曇り空だった(NHKの中継では雪がちらついていたらしい)。寒さも応えた。私も身震いをしながら第2試合を観戦した。第1試合と比べ、天候が悪化したことは間違いない。でも・・・。
試合後、関東学院大の春口監督は「第2試合でスタンドがガラガラになってしまったこと、カラスの溜まり場になってしまったことを、今後どう改善していくべきが真剣に考えなければいけないと思う」と話していた。この試合が復帰戦となったSO今村は早稲田との決勝戦について「ウチにとって、完全なアウェーになるのは間違いないでしょうね」と呟いた。
早稲田大の清宮監督は記者会見のあと、出席していたマスコミに向かってお願いをした。「1月12日の決勝戦を、満員にして欲しい。マスコミのみなさんの協力をお願いしたいです」と真顔で話していた。
今季復活を遂げた早稲田大と王者・関東学院大。私は少なくとも5万人の観客は集まると思う。でもそれは早稲田大の人気、伝統によるところが多いのは明らかだ。昨年の決勝は、早稲田、慶応、明治という人気校が揃って敗れ、関東学院大ー法政大というカードになった。国立には空席が目立った・・・。
伝統校の力は、野球にも通ずる。裏を返せば、新鋭校はいつまでたっても新鋭校として見られる。私の住む神奈川は特にそうだ。横浜、東海大相模、桐蔭学園、法政二、横浜商・・・。伝統校の人気は衰えることはない。 昨季の秋季大会は平塚学園が初優勝を遂げた。春のセンバツでは、桐光学園が初出場を果たした。二校とも新鋭校という言葉がぴたりとはまる。これからの神奈川高校野球界を引っ張っていく存在でもある。 けれども、神奈川の高校野球を扱うHPでは、「フロックでの優勝だ」「まだ実績がない」など、素直にその力を認める流れは少ない。
春口監督は言う。「国立で早稲田と決勝を戦えるなんて、夢のような舞台です」監督は何年も前から「ウチには早稲田、慶応、明治のもつ伝統の力はない。だから、これから何年も勝ちつづけて、ファンに認めてもらって、関東学院大学の伝統を作っていきたい」と話している。
大学ラグビーの決勝は1月12日。今村選手の言う通り、大勢の早稲田ファンで国立は埋まると思う。 私は早稲田も関東学院も大好きだ。家には早稲田のフラッグが飾られているほどだ。関東学院もキャンパスが私の地元に位置していることもあり、応援している。どちらにも決勝戦にふさわしい好ゲームをして欲しい。そして、早稲田に負けないぐらい大勢の関東学院ファンが集まることを願う。
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