水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2001年12月16日(日) |
乃南アサ著『デジ・ボウイ』 |
本日も水野の図書室においでいただき ありがとうございます。 急に改まった書き出しになりました。気がついたら多くのカウントに緊張して います。
今日は、乃南アサ著『家族趣味』の四つ目の物語、『デジ・ボウイ』です。
父親の仕事の関係で海外で暮らしていた直樹は、高校受験を翌年に控え、ひとり 帰国し親戚の家に居候することになりました。 父の弟にあたるおじさん一家のその家は、おばさん、寛子姉さん、中三の彰文、 小学生の結季ちゃんの五人家族です。 直樹は同い年の彰文がいることがうれしかったのですが、彰文はいつも無表情で 笑うこともなければ、怒ることもなく、学校の様子を話すこともしません。
タイトルの『デジ・ボウイ』は彰文のことですね。 直樹は彰文をロボットみたいな奴と思い、彼の無味乾燥な性格に苛立つように なっていきます。
そんなある日、結季ちゃんが頭を怪我して帰ってきます。 この出来事が、直樹と彰文の人生に大きく関わることに・・
読んでいて、ぐいぐい引き込まれました。 複数の登場人物に、同じひとつのエピソードについて別々の対応をさせることで 個性の差を際立たせることができるのですが、乃南さんが直樹と彰文に用意した 数々のエピソードは、どれも説得力のあるものです。 最初の「パンツの出来事」には、うひゃあ〜!!でしたが・・
そして、無感動なデジ・ボウイ、彰文が直樹にしたことは・・
乃南アサ著『家族趣味』(新潮文庫)に収録の『デジ・ボウイ』は52ページ。 まさかのラストは予想できなかった20分。 このラスト、これもある意味、大ドンデン返しです。
ラストで泣いてしまいました。 ポロポロ泣けて、どうしようもありません・・
彰文!なんで こんなことをしたの・・ 涙が止まんないじゃん・・
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