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きっかけは『サユリ1号』■2002年12月21日(土)
昨晩、金曜の夜は数学の指導だった。

生徒は好調、問題をことごとくクリアした。

「今までの先生の教え方の中で、今日が一番よく分かった!」

ああそうですか、今まで下手ですみませんでした。

兎に角、出来が良かったよ。




生徒に貸してあった漫画『サユリ1号』の感想から、彼女の思い出話が始まった。

「私ね、女って大嫌いなの。」

生徒は高校入学して、一旦は吹奏楽部に入っていたが、半年も経たずに退部したいきさつを話した。

当時は慣れないクラリネットを任され、学校で触るだけでは上手くならない、と親にクラリネットを買ってもらい、自宅でも練習したそうだ。

「パート中では私一番上手くなったのね。始めのうちは先輩たちが褒めてくれてたの。」

出来のいい、かわいい後輩だな。

「でも、だんだんみんな私を無視し始めてて、ある日私のクラが壊されて、しかも2年生の先輩に“明日から来るな”って言われたんだよ。」


おかしくない?と生徒はタバコを吸った。

情動が激しいとき、生徒はタバコのペースが上がる。




「中学校の時もそう。」

ほう。

「入学してすぐ、可愛い可愛いっていろんな人が私を見に来て、女の子でも中には“友達になってください”って手紙送ってくる子もいたんだよ。」

もてもてですな。

「かわいいのは分かってるってば。」

はい。

かわいい、頭いい、愛想もいい、良い所づくしだな。

「そう、いちおう、人に比べられそうな所ではどこも負けてないわけよ、私は。でも、中学のときは、いつの間にかいじめられっこになっててねー。」

ロッカーの荷物が消える、教科書が破り捨てられる、上履きがトイレに、と。

「トイレには名指しで“顔が気持ち悪い”って書いてあったしね。そういうこと書くお前の方がキモいっての。」

やってくれる。

「なんなんだろう、やっぱ、妬みとか、かな?」

ねたみ、か。面倒くせえ連中がいるな。

「私は自分の満足するようにしたいだけなのよ。髪の色変えたり、勉強したり、楽器弾いたり。自分がやりたいようにやってるんだから、ほっといてよ、って感じ。特に女は自分と他人を比較したがるからイヤ。」

まあ、他人に負けて悔しいとか思っても、誰もがその気持ちを制御できるほど冷静いるわけじゃないんだろうな。

困ったね。




そんな話をして、僕は生徒の家を辞し、帰宅した。




で、1時ごろ、寝ようとした時に生徒から電話。

「昔の話したら、なんかテンションが上がって眠れない…。」

そっかそっか。

30分ほど話した。

途中、彼女のいった言葉が、

「ね、今から会わない?」

今から?

「今セックスしたら盛り上がるだろうね。なんか、そんな気分じゃない?」

アホか、こいつ。

結局、「話したら寝れるかんじになってきた」と生徒が言い出し、そして、おやすみを言って会話を終えた。




村上かつら サユリ1号 1-3巻 ビッグコミックス 2002

とにかく可愛いいモテまくりの“大橋さん”が主人公をはじめ大学の男子学生を翻弄し、彼らの仲間意識やサークルを崩壊に導いて楽しむ。当然、女子学生たちは彼女に敵対心を持つ…。感情の描写が秀逸。愛ってなんだろうなって考えさせられた(謎)。
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