カンラン
覧|←過|未→ |
マーゴさんから根っこが生えた。
何度も何度も, 見間違えじゃないかと, 上から,下から,横から,ななめから, あまりにも繊細な様子の白い根っこをながめてみた。
やわらかなオレンジ色の明かりの下, マーゴさんの根っこは 白いんだけど, 透き通っていて, けれども黄金色で。
私はあきることなく ずっとずっとながめていた。
ながめていると 根っこが ひそかにしゅるりとのびる瞬間を見れるような気がしたけれど,
ながめていると 根っこも ひそかにしゅるりとはのびてくれなさそうだったので,
白いちぢくのパンをおいしそうに食べてみたり, 口の中のいちぢくの小さな小さな種をひとつずつぷちぷちつぶしてみたり,
まるでマーゴさんの根っこには興味のないふりをすることにした。
|