ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2002年04月10日(水) 手を、するりと
 わたしたちはお互いに、がんばろうね、と言って走り始めました。
 顔が確認できたのは、エツ、ヨウコ、サナミ、その三人だけだったのだけれど、わたしの周りにはたくさんの仲間がいて、まるでマラソンのスタートのようにいっせいに走り出したのです。
 けれど、今、わたしはたった一人で走っています。
 ガラス張りの、下に海の見える道を、どんどんと重くなる足をなんとか動かしながら、わたしは、走っています。

 一人、なのか、独り、なのか。そんなことは考えないように、と自分で決めました。
 楽しかったことばかり思い出されます。
 わたしの好きだった人のこと、わたしの嫌いだった人のこと。
 どうして楽しかった、といえるのでしょう。


 わたしは走っています。

 いつかみることのできるだろう、はてしなく透明な湖のために。
 あるいは、たった一人の人のために。



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