lucky seventh
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空との境界線の中で、子どもが歌を謡っていた。 いつまでも。 どこまでも。 途切れることのないように、うたう。
子どもは人形だった。 だから、誰のためにも、自分のためにも 子どもは生きていることはなかった。 人を愛することのできないどもは、 人を憎むことのできない子どもは、 人をひととも思えない、人でなし。
子どもは生まれたままに死んでいた。
第一話 『こうして子どもは世界に生まれる』
1983 12/1 「おめでとうございます。」
この日、はじめて子どもの存在が子どもを生むことになる女性に伝えられた。 女性の名前はオルカ、とても穏やかでその姿はまるで野に咲く花のように ほっそりとたおやかな女性だった。
オルカの胸は嬉しさでいっぱいになった。 結婚してからも中々子供が出来ず、5年目にしてやっと望んでいた 知らせを聞けたのだ。 オルカは病院から出ると、すぐに近くの公衆電話にかけよった。 喜び、赤くなったほてった頬に冷たい冬の外気がふれる、 財布から小銭をとりだし、はやる心を抑えて受話器をにぎった。 もちろん、相手は決まっている。 なんども覚えた番号を、間違いないように慎重に押した。
「はい、ウズミです。」
聞こえた声に、オルカは幸せそうに微笑んだ。
「もしもし?私です。オルカです。」 嬉しいニュースがあるんです…
こうして、子どもの物語は始まった。 そうして、子どもの物語は終わった。
ただ、いとおしく、こいしい 世界は常に表裏一体をかなでる。。。
ナナナ
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