lucky seventh
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2004年01月02日(金) |
つないだ手、叶わなかった約束(無色シリーズ) |
「いつか」
微笑みながら、あの人は言った。
「いつか 。」
それはわたしのすべてだった。
・つないだ手、叶わなかった約束・
そこは闇だった。 前も後ろも、上も下も何も見えず、わたしは首を傾げた。 何故、自分がここにいるのか。 まったくといっていいほど分からなかった。 すると、突如なにもなかった世界に音が生まれた。 暗い、深い、闇の奥で誰かの呼び声が聞こえる。
「古き英知とーーーーー」
その声に合わせて、うすぼんやりと光も生まれた。
「我が声に応えよ!」
唐突に覚醒した。 目覚めると、目の前に一人の男が立っていた。 薄い茶のヒトミにそれとお揃いの濃い茶のヒトミを持つ男。
それがわたしと、あの人のファーストコンタクトだった。
その頃のあの人は、無色の大幹部である男の妻、ツェリーヌを姉に持つ、 まだ、若き派閥の幹部候補生だった。 未知数の潜在能力を保持し、誰もがあの人を恐れていた。 自ら進んで派閥に属していながらも、あの人は何もしようとはしなかった。
そしてあの人、リュシィとわたしは出会ったのだ。
「こんばんわ、お嬢さん」
床一面にえがかれた魔方陣の中にすわるわたしに向かい、 血まみれのリュシィは微笑んだ。
目覚めたばかりのわたしは、それを見て、不思議そうに首を傾げた。
「わたしは誰?」
目覚めたばかりのわたしは、すべてを忘れていた。
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-■テいつか。 と、あの人は言った。 人形として目醒めた私の名前をみつけ、喚んだマスター。 無色の長である男の義弟であり、自身も幹部として所属していたあの人。 今思うと、その頃からもう知っていたのかもしれない。
人は思い出だけでも、生きてゆける。。
そんなのうそだと叫んだ。 けれど、実質私は彼の思い出に生かされていた。
2004 1/14改訂
ナナナ
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