lucky seventh
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墓を掘る。
墓を彫る。
埋められたのは半身、
刻まれた名はすべて。
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あぁ、死ぬんだ。
向けられた銃口にそう思った。 抗う力ももうなくて、あきらめにも似た感情に身体は動くことはなかった。 もう終わる、その瞬間身体の力がドッと抜けて、目を閉じた。 そうしなくちゃ、微笑ってしまいそうだったから。
「死ね」
凶器に彩られ、狂気に乱れて、 何もかもがどうでもよくなって、これで終わる。 それでもいいかと思った。 この手に握られたナイフは、この手で殺した人の血で染まっている。
ガチャ
す べ て が お わ る ん だ。
「葉月(はづき)!!」
バン
目の前が血色に染まる、銃口を向けていたクラスメートが倒れた。 目を見開いたままその顔は哀しそうに笑っていて、 その時やっと思いだした。
「愁(うれい)?」
スポーツが好きで、いつかサッカー選手になると笑っていた。
「愁?…れい!!」
友達。 とても気のあったいいやつ。 いつかの野球漫画のように甲子園に連れてってやる!! 野球部員でもないのにそう言って、野球部の希(のぞみ)のところまで 本気で連れて行かれた。 落ち込んでいる時、さりげなく馬鹿やってなぐさめてくれた。
「…」
「葉月」
振り向くと花月(かづき)がいた。 硝煙の匂いがして、その手には銃が握られていた。
「最期に会えてよかった」
目の前の愁と同じように笑っていた。 瓜二つの顔を愁や、途中で見つけた皆と同じような表情(かお)をして、 笑っていた。
「大好きだよ」
その手には銃が握られていた。
「だから、(オレの分まで)生きて」
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墓を掘る。
墓を彫る。
埋められたのは自身、
刻まれた名はすべて。
******
「皆と同じとこにはもう行けないね」
生き残ってしまった。 愁も希も、大好きだったクラスメートは皆死んだ。 花月も、そして葉月も死んだのに、
墓を掘る。 墓を彫る。
これから始まるのは終演の幕開け、 第一舞台は 弔いの鎮魂歌
---------- バトロワ風味
ナナナ
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