lucky seventh
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2004年02月20日(金) 1/2


墓を掘る。

墓を彫る。


埋められたのは半身、

刻まれた名はすべて。









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あぁ、死ぬんだ。

向けられた銃口にそう思った。
抗う力ももうなくて、あきらめにも似た感情に身体は動くことはなかった。
もう終わる、その瞬間身体の力がドッと抜けて、目を閉じた。
そうしなくちゃ、微笑ってしまいそうだったから。

「死ね」

凶器に彩られ、狂気に乱れて、
何もかもがどうでもよくなって、これで終わる。
それでもいいかと思った。
この手に握られたナイフは、この手で殺した人の血で染まっている。


ガチャ


す べ て が お わ る ん だ。


「葉月(はづき)!!」


バン


目の前が血色に染まる、銃口を向けていたクラスメートが倒れた。
目を見開いたままその顔は哀しそうに笑っていて、
その時やっと思いだした。

「愁(うれい)?」

スポーツが好きで、いつかサッカー選手になると笑っていた。

「愁?…れい!!」

友達。
とても気のあったいいやつ。
いつかの野球漫画のように甲子園に連れてってやる!!
野球部員でもないのにそう言って、野球部の希(のぞみ)のところまで
本気で連れて行かれた。
落ち込んでいる時、さりげなく馬鹿やってなぐさめてくれた。

「…」

「葉月」

振り向くと花月(かづき)がいた。
硝煙の匂いがして、その手には銃が握られていた。

「最期に会えてよかった」

目の前の愁と同じように笑っていた。
瓜二つの顔を愁や、途中で見つけた皆と同じような表情(かお)をして、
笑っていた。

「大好きだよ」

その手には銃が握られていた。

「だから、(オレの分まで)生きて」








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墓を掘る。

墓を彫る。


埋められたのは自身、

刻まれた名はすべて。









******



「皆と同じとこにはもう行けないね」



生き残ってしまった。
愁も希も、大好きだったクラスメートは皆死んだ。
花月も、そして葉月も死んだのに、


墓を掘る。
墓を彫る。



これから始まるのは終演の幕開け、
第一舞台は 弔いの鎮魂歌








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バトロワ風味


ナナナ

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