lucky seventh
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あの頃に戻れたらよかったのにね。
そうしたら、また2人でいられたのにね。
・その思いの名は ・
「ずっとずっと見ていたよ。」
俯いていた顔を上げた少女は、もう子供のままじゃなかった。 タマキはそんな長馴染みの様子に、珍しく動揺した。
「知ってたんでしょ?」
ふいに、堪えきれなくなって少女から目をそらす。
「知らないふりしてたんでしょ?」
それは、ほんの少しだけ責めているようで、 それ以上に、少女の悲しみと、堪えようのない切なさを帯びていた。
「ねぇ、なにか言ってよ…」
タマキは何も言わなかった。 リンに何一つ返すことができなかった。
「好きなんだよタマキ。」
「好きで、好きで仕方ないんだよ。」
「もう、あの頃には戻れないんだよ。」
突き付けられた現実に、タマキはやっと理解した。 もう、戻れない。
「消えたわけじゃない、過ぎ去っていたんだな。」
タマキの言葉にリンは泣きそうに顔を歪めながら、 それでも無理矢理笑った。
「女の子はそんだね。だって、男の子より先に大人になっちゃうんだもん。 タマキには分からないんだよね。分かってた。分かってたよ…」
それでも、少女は言った。
「タマキが好きなんだよ。 どうしようもないくらい、救いようのないくらいにね。」
あの頃に戻れたらよかったのにね。
そうしたら、まだ2人でいられたのにね。
その思いの名は、恋という名の愛おしさ。 『恋愛』
ナナナ
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