lucky seventh
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2004年08月15日(日) バビロン






彼は悲しみの果てにいると言いました。












バビロン
−天高き頂きの塔からやってきた男−










彼は悲しみの果てからやって来たといいました。




人は生きているうちに、どれほどの犠牲のうえで生きていくのでしょうか?
私はそれに気づいたとき、呆然とその罪悪感に出会ってしまった。
人はなんのため、何をなす為にいるのでしょうか?
私は知らない。

人とは何か?

遠い昔の偉人たちの問いかけが、DNAとして解明される。
それは今を生きる人の導き出した答えの1つとして、私は知る。

それでは人とは何のためにあるか?

その答えを知るものはいない。
その答えは人の数だけ、生きていく限りいくつもあるのだから…

それは私の運命にある無数の糸の1つだったのか。



その男は天高き頂きの塔からやってきたと言った。

コウセイ。そう姉が呼ぶ声が聞こえた。
姉のラクセイは慕糸(シイト)を商う、紡技師(つむぎし)だった。
けれど、数年前に起きた火事で顔と手を焼いてしまい仕事をすることはおろか
今でもその時の火傷(ヤケド)後遺症に苦しまされていた。
それまで、ラクセイは村一番の紡技師だった。
ラクセイの織る、慕糸でできた布は繊細さとたおやかさを巧みに織り交ぜた神技とも、
そう、呼ばれるほどのものだった。
それがコウセイには自慢だった。
姉の織り成す布を求め、いく人者行商がラクセイとの契約を交わした。


ナナナ

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