lucky seventh
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2004年10月14日(木) そうして僕は魂を売った。

そうして弦が引き疲れるように、

弓なりに反った悲鳴を僕は知らない。
















:そうして僕は魂を売った。



















「消しゴムみたいなんだ。」
無感動に言う君に、私は泣きそうになった。
けれど泣くわけにはいかない。
それは彼に対する非礼になるから、私は歪みそうになる顔を堪えた。



君は言う。
「愛おしい、愛しい世界なんだ。」
その優しい優しい眼差しを隠すように瞳を閉じて、
ふいに浮かんだ綻ぶような口をぎゅっと引き締める。
彼の態度すべてが語っている。
愛おしい、愛おしいと。
あの頃、すべてを憎んでいた君とは、とてつもなく変わってしまった。
この世に生まれてきたことに、全身全霊で叫んでいた。
憎い、憎いと。
存在することに罪悪を感じ、また自ら命を絶とうにも
これまで犠牲にしてきたものが多すぎて、償いきれず一歩を踏み出せなかった。
どれだけ多くの命を奪ってきただろう?
生きるために、それを行うのは悪ではないのだろうか?
問うた言葉に誰もかえしてはくれなかった。
食べた食物を吐いた。
自分を囲う檻のような家の中で、一生動物のように生きていくのか?
そんな人生に彼は嘆いた。
そんな人の在り方に彼は絶望した。
そして、嘆いて気がついた。

君は何を手にいれたの?

愛おしい、愛おしいと。
彼は翳りを帯びて、何かを決めたように笑う。
この世界が憎いと言った。
この世界が愛おしいと言った。
いつのまにか同じ口が違うことを言っていた。

残ったのはいつのまにか儚くなった、君。

人は変わる。
思いも変わる。
すべてが流転し、流動する。
それは彼が触れた世界なのだろうか?
それが彼が見つけた答えなのだろうか?
怨嗟の塊のようだった。
この世の復讐の鬼のようだった。
けれど、その中で絶えず彼の世界は回っていたのだろう。
きっと彼は変わっていく自分に嘆いただろう。
止まらない世界に悲鳴をあげのだろう。

そうして君は人である無力さを知り、
そうして君は人であることを君なりに覚ったのだろう。

どんどん、どんどん削られていく。
心が、思いが疲弊していった。







あぁ、これが生きるということなんだ。

君の声が聞こえた。


身を滅ぼすような彼の生き方に、それでも何も言えなかった。


ナナナ

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