lucky seventh
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2004年10月16日(土) 永遠なんてないけれど…

永遠なんてないけれど…
ある不老不死の青年と
その青年に育てられてる少年の会話







「なぁなぁなぁ」
最近(と、言っても時間感覚のなくなったこの身では
いまいちよく分からないが、)拾った子供は遠慮と言う言葉を知らない。

(それともこれが最近の子供と言うものなのか?)

ゆったりと安楽椅子に座った男の膝の上に、膝立てになってなつくように
顔だけをのせた姿はどこぞの猫のようだ。
白い足が無造作になげだされている。
外でしんしんと降り続ける雪と同じ色合いの足に、
男は自分の羽織っているショールをそっとかけたやった。
もとより子供は色白だった。
さいわい床にはカーペットがひかれているせいで、
真冬だというのに裸足でいる子供の頬は暖炉の火も相成って、
ほかほかと温かそうに色づいている。
拾った当初よりも毛並みのよくなった子供に対して男は少しだけ笑って、
子供も自分にかけられたショールに嬉しそうにニッコリと笑った。

「あんなぁ…」

子供はニッコリと笑ったまま、男の膝になつくように顔をすりつける。
まるでマ−キングをしているようだった。

「あにぃはどうして僕を拾ってくれたん?」

男は子供の質問に目を丸くした。
遠慮知らずの子供がどこかそれを気にしていたのは知っていた。
ときおり浮かぶ、物言いた気な瞳がそう聞いていたから。
背けるように反らされた横顔に、まだ子供なんだなと男は思い
いつか真正面からそう聞かされる日も遠くはないんだと自分に言った。

人が成長するのはほんとにはやい。
時が止まってしまったこの身には、
普通の人々よりもさらにはやく感じられる。
いままでもたくさんの人を看取ってきた。
それに堪えきれなくなった時もあった。
どんなに愛しても、
どんなに思っても、
通じ合うのほんの瞬きのような、そんなわずかな時。
人と関わるのを止めようと思った時もあった。
いつか訪れる別れが恐ろしく、何より悲しくて辛かった。
死ぬことはないけれど、それ以上に死んでしまいそうだった。


けれど、
けれどそれ以上に…

与えられた永遠が分からなかった。
すべてが愛おしかった。
今この手が感じる温もりがすべてで、何にも変えがたい現実。

「運命だったのかもしれない」

そう言うと、子供は顔をあげ不思議そうに首を傾げた。

(運命なんて言葉は好きではないけれど、
それでも、お前と出会えた意味がそれならば、それでいい。)
















永遠なんてないけれど…
けれど、いつかこの今が永遠になる。


ナナナ

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