ゼロの視点
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2002年12月05日(木) ピアノ

 今日は、本当にダラダラして気持ちの良い日だった。本当に何もしていない。ピアノ弾いて、ネットして・・・・・、おまけにダンナもまだ帰ってこない。こんな日は、思いっきり羽を伸ばそう、仕事なんかどうでもいいっ!!。

 さて、私の趣味はピアノ。でもあくまで趣味だ。とはいえ、ピアノを弾くと精神的に落ち着くので、やめられない。

 今、我が家にあるピアノは、姑のプレゼント。姑と数年前初めて対面したとき、私は、ほとんどフランス語が話せなかった。なんとなく、フランス語はわかっていたとはいえ。

 姑はコミュニケーション大好き人間。要するに自分の喋ったことに他者の反応がないと、寂しくて、イライラして・・・、ってタイプだ(笑)。ゆえに当時フランス語が不自由だった私と、今ひとつ満足にコミュニケーションができず、激しい欲求不満になっている姑の姿がよく伝わってきた。

 姑の家には、19世紀のアンティークともいえるグランドピアノがある。第二次世界大戦のドイツ占領下、ナチの将校が姑の家にやってきて、思う存分弾いていったという、いわくつきのピアノ。

 姑の青春時代は戦争でおわり、習い始めのピアノを満足に習得するまえに終わってしまった。その後結婚して、娘でもいたらピアノを習わせようと思っていたら、結局生まれてきたのは息子二人・・・・。ピアノを弾くより、兄弟でプロレスをやっているようなガキ。

 ということで、長いこと誰もこのグランドピアノを触れることなく月日が経っていた。

 一方、私も、長いことピアノに触れるまま時を過ごしてきていて10年近かった。訪れた姑の家にあるピアノを見て、むしょうに弾きたくなって、数時間、覚えている限りの曲を弾いてみた。もう無我夢中。完璧に暗譜できていないし、指が昔覚えているほど動かない・・・・(滝汗)。ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ・・・・、と思ってふと他者の存在に気づいて、姑の方を振り返ると、彼女が感激して涙を流していた・・・・・・・・、ウォォォォオッ!!。

 どうやら、姑が本当にわしのピアノに感動したようである・・・・。こんなに間違っているのに・・・・・(汗)?!?!?!。

 彼女の夫(つまり夫の父)は美術評論家兼ジャーナリストだった。ゆえに芸術となると、妙に敏感になる姑。彼女のダンナはその地域ではかなり有名で
死後夫の名前が通りの名前にまでなっている。とはいえ、彼女の詳しいことは美術(鑑賞のしかた)であって、音楽ではないっ!!。要するに音楽オンチ。

 その後、彼女は感動してピアノまで私に買ってくれたのはいいのだが・・・・。ちょっと鬱陶しい問題が・・・・。

 彼女は、私のことをピアニストだと思っている・・・・(大汗)。それプラス、毎回彼女の家に行くと、すでに“嫁のピアニストが今来ている”と近所に触れ回るのだ。で、私がピアノを弾き出すと、

「ご近所の方々にもお聴かせしなくっちゃ!!」などと言い、家中の窓を全開にする。

 ノエルの時も、そうだ・・・・。アペリティフに一曲、ディナーの前に一曲、デザートの時の一曲、食後のカフェに一曲・・・・。まるで場末レストランの雇われピアニストのようだ(笑)。でも、私は酒が好き。おまけに酒が入ると、まったくピアノが弾けない・・・・。もうグチャグチャっ!!。ゆえに、ピアノをちゃんと弾く可能性を考えると、ノエルのディナーも楽しめないのだ(涙)。

 それはそうと、先月の末、姑がパリに上陸していた。彼女は1区に自分のパリ滞在用の部屋を持っている。とはいえ勝手にパリで楽しみなサーーいとはいえないので、我が家に招待する。そうなると、我が家には姑がプレゼントしてくれたピアノがあり、姑を前にしてピアノを演奏しないわけにはいかない・・・・、ううーーーん悪循環(苦笑)。

 今回は、ショパンのバラード4番と、バッハのイタリア協奏曲をご披露。ま、ちょっと間違えてしまったが、まあまあの出来。そうすると恒例の、いつもの姑の感動がはじまった。姑は

「つまらないモノ書きなんてやめて、ピアニストになりなさいッ!!」と命令してくる・・・・・。

 オイオイ・・・・・。もしこんな私がピアニストになれてしまったら、幼少の頃からハードにピアノだけを練習して、留学して、それでもなかなか稼いでいけない、プロのピアニスト様に本当に申し訳ないし、そんなことは決してありえないっ、と伝えるのだが、彼女は全くこれに対して聞く耳はなし・・・・。

 おまけに、彼女がパリ滞在中、何人かの日本人を道端でみつけて“私の嫁は日本人でピアニストなのよ”って言ってしまったらしい・・・・・。辛い、マジで私としては・・・・・・・。助けてっ!!。

 パリでは、毎年一度世界的規模のアマチュア・ピアニストコンクールというものが主催されている。2000年のこのコンクールでは日本人が見事に優勝して、その後プロのピアニストに転向しているほど、レベルが高いコンクール。あまりにも、姑が私をマインドコントロールするように、ピアニスト、ピアニストと言い張るので、プチンと切れた私は、こう姑に伝えてた。

「今すぐは仕事があるので出来ないけれど、そのうちアマチュアピアノコンクールに応募します。だから、それまではあーだ、こーだとド素人レベルでモノを言わないでくだせえっ!!」

 これに参加して、予選落ちでもすれば、彼女のこの妄想がすっ飛ぶと思ったゆえの提案(笑)。本当に私が参加するか否かは別として、自分でも啖呵切ってしまったので、細々とピアノを真面目に練習しているゼロでした。


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