さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
目次へ|←遡る|時の流れ→
2002年12月07日(土) |
にゃん氏物語 夕顔13 |
光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔13
やっと惟光が来た 夜中でも早朝でも源氏の思い通りに従ってる人が 今夜はいなく 呼んでもすぐ来なく遅れて来たのを源氏は憎みながら 寝室に呼ぶ 今の悲しみを何とかしてくれるのは惟光だけと源氏は思う
呼び入れても 今から言うことの悲しみを考えるとすぐに言葉が出ない 右近は隣家の惟光が来た事で 夕顔と源氏の始めの頃からの事が 思い出され泣いていた 源氏も今まで自分一人だけが心強く右近を 抱きかかえていたのだが 惟光が来てほっとし 心の底から悲しみが 湧き上がる とても泣いた後に源氏は躊躇しながら言う 『ここで 奇怪な事が起きた 驚くという言葉では言い表せられない このような おかしな事があった時には 僧家にお布施をして読経をしてもらうのが よいと言う 早速手配しよう 願掛けをさせようと阿闍梨も来てくれ と言ったのだ どうしている?』 「昨日比叡山に帰山しました それにしても なんという奇怪な事です 以前から身体は悪かった のでしょうか」 『そんな事も無い』と言って泣く源氏の様子に 惟光も感動されて声を上げて泣いた 年を取った人はめんどうであるが こんな時は年を取っていて世の中のいろんな経験を持った人が頼もしい 源氏も右近も惟光も皆若かった どうすればいいのか解からなかった
ようやく惟光が「この院の管理人などに知らせる事は よくない事です 管理人が信用できても 口をすべらす身内が中に いるでしょう まずは この院を出ることです」と言った 『でも ここより 人気の少ない場所は他には無い』 「それはそうでしょう あの五条の家は女房たちが悲しがって大騒ぎ になる 隣家が多い近所にそんな声がすると すぐに世間に知られる そこで 山寺は こうした死人などを取り扱うのに馴れているから 人目を紛らわすのに都合がよいと思います」と考えながら 惟光は
「昔 知っていた女房が尼になって住んでいる家が東山にあるので そこへ移しましょう 私の父の乳母をしていて今は年老いて住んでます 東山は人がたくさん行く所ですが そこだけは閑静です」と言って 夜明けの夜と朝が入れ替わる 明暗に紛れて車を寄せさせた
源氏が女を抱き抱えて乗せることはできそうにもないのでゴザに巻き 惟光が車へ乗せた 小柄な人だったので気味悪くはなく とても美しく 思えた むごい扱いはしないで しっかりとは巻かれていないので ゴザの横から髪が少しこぼれていた それを源氏は見て目がくらむ ような悲しみを受けて 煙になる最後まで見届けたいという気になった
「早く二条の院にお帰りなさいませ 世間が起きぬうちに」 と惟光は言って 女には右近を添えて乗せた 自分の馬を源氏に渡し 自分は徒歩で 袴のくくり上げをして出発した 随分嫌な役と思うが 悲しんでいる源氏を見て 自分の事はどうでもいい気に惟光はなった
さくら猫にゃん
今日のはどう?
|