さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月09日(月) |
にゃん氏物語 夕顔15 |
光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔15
ケガレを発表したため 二条の院への来訪者は皆庭から取り次ぎして 帰っていった めんどうな人は誰も源氏の居間にいなかった 惟光を見て源氏は『どうだ だめだったのか』と言うと同時に袖を 顔へ当てて泣いた 惟光も泣きながら「もう明らかに亡くなりました いつまでも 置いておいてもよくないので 丁度明日は葬式に良い日 でしたから 葬式の事を私の尊敬する老僧に相談して頼みました」
『一緒に行った女は?』「それが あまり悲しみ生きていられない 様子で 今朝は谷へ飛びこみそうになり心配しました 五条の家に 使いを出すといいましたが よく落ちついてからにしなければと とりあえず止めさせました」惟光の報告を聞いているうちに悲しく なって源氏は『私も病気になったようで死ぬかもしれない』と言う
「そんなふうに悲しんではいけません 皆運命です なんとか 秘密に処理するため 私自身でどのようなことでもしますから」 『そう運命なのだ 私もそう思うが軽率な恋愛漁りから人を死なせた という責任を感じるのだ 君の妹の少将の命婦にも言うなよ まして尼君は いつもこういうような事をよくないと小言を言うから 聞かれたら 恥ずかしくてたまらない』
「山の法師にも まるで違う話に変えて話しています」と惟光が言い 源氏は安心した 二人がひそひそ話ししているのを見た女房たちは 「どうも おかしい 穢れと言って参内しないで 何か悲しいことが あるように あんなふうに話しをしてる」と納得しないように言った
源氏は『葬儀はあまり簡単な見苦しいものでないように』と言った 「そうも できません これは大げさにしていいことではない」と 否定して惟光が立ち去ろうとするのを見ると 急に源氏は悲しくなり 『よくないと思うだろうが もう一度亡骸を見たい そうしなければ いつまでも憂鬱が続くように思うから馬ででも行こうと思う』 主人の望みを軽率と思いながら惟光は止めることができない
「それほど 思いになるなら仕方ないです 早く出かけて 夜更けに なる前に お帰りください」と惟光は言った 五条通いの変装の 狩衣に着替えて源氏は出かけた 病気で朝より苦しくなった事も わかっていて源氏は 軽はずみに出かけてどんな危険があるかも しれなくて やめたほうがいいとも思ったが 死んだ夕顔に引かれる 心が強く 今世で顔を見ておかないと 来世ではもう見られないとの 思いで 心細さもかまわず いつも通り惟光と随身をつれて出発した
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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