さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月12日(木) |
にゃん氏物語 夕顔18 |
光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔18
御所のお使いは雨脚より激しく絶え間なく来る 帝が大変心配している と聞いて源氏は もったいない事だと思って病気に負けない気になった 左大臣も毎日きて世話をした そしていろいろな治療や祈祷をした そのかいもあって 二十日ほど重体だった後に 他の病気も起こらず 源氏の病気は段々回復していった
ケガレをさける期間の終わる正式な日の夜だから 源氏は逢いたがって いるという帝の気持ちを察し 御所の宿直所まで行く 退出は左大臣が 自分の車で迎える 病後の謹慎についても厳しく監督された この世とは別世界に生き返ったように しばらくは源氏は思うのである
九月二十日頃には すっかり回復して 痩せてはしまったが かえって 艶な趣がある源氏は 今だよく物想いをし よく泣いた その様子を 不思議に思った人は まだ物の怪が付いているのでは?ともいう
源氏は右近を呼び出して のどかな夕方に お話しをされて 『今でも私はわからない どうして誰の娘か とことん私に隠したのだ どんな身分でも 私があれほど熱愛してたので打ち明けてくれるはず なのになあと思って恨めしかった』と言った
「そんなに隠すわけがありません そんな話しをする機会がなかった のでは?最初があんなふうなので 現実の関係のように思われない と言って 真面目な方なら いつまでもこのように行くものでもない 自分は一時的な対称にすぎないのだと言って寂しがっていました」
『つまらない隠し合いをしたなあ 私の本心ではそんなに隠そうとは 思ってなかった ああいう関係は私には経験がなく 世間が怖かった 御所の注意もあり その他のいろんな言動をひかえていた
ちょっとした恋でも 大問題に扱われる厄介な自分が 夕顔の花が 白かった日の夕方から やたらに私の心は あの人にひかれていき 無理な関係になったのも ちょっとの期間しかない二人の縁だったから だと思う でもそれは恨めしくも思う こんな短い時間の縁しかないの であれば あんなに私の心をひかなくてもいいのにと…
そんなわけで 今でもいいから詳しく話してくれ 何も隠す必要はない 七日毎七回(四十九日)仏像を書かせ寺に納めても 名を知らない では困る 名を出せなくても せめて心の中では 誰の極楽往生を 祈っているかと思いたいじゃないか』と源氏が言った
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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